第5話

あの後、ソラったら結局いつも通り発情したわ。

成人したから理性が持ってるのかと思ったのは御門違いだった。

ただただ発情するまでの飲む量が増えただけだった。

例のフェロモンを解毒してなかったら普通にヤバかったよ。

結局いつも通り寝落ちするまで吸わせてから秘密基地に寝かせて来た。


病院へと逆戻りしてアンヌと合流した事だし、お待ちかねのデートだー。


「ヒカゲ君ご機嫌ですね。

何かいい事ありましたか?」


病院を出て鼻歌混じりに歩いているとアンヌが尋ねて来た。


「アンヌとデートしてるからだよ」

「ただ街を歩いてるだけですよ」

「お散歩デートだね」

「こんなの満足なのですか?」

「うん。

満足」

「いつもはエッチな事ばかり言ってるのに不思議ですね」

「え?エッチな事していいの?」

「そうは言ってません!

少しは取り繕いなさい」

「それは無理だよ」

「どうしてですか?」

「だって僕は常にアンヌにエッチな事考えてるから」

「そう言う所です!

全くもう、そう言う事を言わなければもっと好感度上がるのに勿体無いですね」

「えー、僕ってアンヌの好感度低かったの〜

普通にショックなんだけど〜」

「いえ、そんな事ありませんよ」


僕がこの世の終わりみたいな顔をするとアンヌは慌て出した。

その慌て方もとても可愛い。


「ただちょっと。

ほんのちょっとですよ。

エッチな所を治したらいいなと」

「アンヌは僕の事嫌いになるの?」

「嫌いにはなりませんよ。

なりませんけど……」

「ならいいや」

「いや、その……

やっぱりいいです」


アンヌは諦めたかのようにため息を吐いた。

まあ仕方ないよね。

並の悪党なら改心しちゃうかもしれないけど、僕は生粋の悪党だから。


「もしかしてですけど、ヒナタちゃんやシンシアにも私にしてるような事してるのですか?」

「何言ってるの?

そんな訳無いじゃないか。

2人共妹だよ。

妹にセクハラするとか変態じゃん」

「あの……

私の事お姉ちゃんだと認めてくれて無いのですか?」

「そんな事無いよ。

アンヌは僕の優しいお姉ちゃんだよ」

「ならどうして私にはエッチな事するのですか?」

「それはアンヌだからだよ」

「うーん……

全然わかりません」


アンヌがなんか難しい顔して悩みだした。

そんな悩む事じゃないのにね。

変なの。


「悩む必要なんて無いよ。

どうせ毎日セクハラするんだし」

「そんな堂々と言わないでください!」

「神に誓ったていい」

「そんな事誓われたら神様も迷惑です!」


それもそっか。

でも悪党は他人に迷惑かけるものだしね。



週末。

僕はシンシアとの約束していた遊園地に来ていた。

週末と言う事もあって人が多い。

そんな中でも一番可愛いのは間違い無くシンシアだね。

異論は認めないね。


シンシアはよほど遊園地が好きなのかあまり見ないはしゃぎようだ。

そんな可愛いシンシアを見て思わずニヤけてします。


「なによニヤニヤして」

「シンシアは可愛いな〜と思って」

「バッ!バカ!」


シンシアにフルスイングでどつかれた。

そういや、迎えに行った時にボーイッシュかつ可愛い服を褒めた時も今みたいにどつかれたな。


「えー、褒めたのに〜」

「うっさい!

次行くわよ!」


そう言ってシンシアは僕の腕を引っ張って行く。

心無しか顔が赤い気がしないでも無い。


「そんなに急がなくてもアトラクションは逃げないよ」

「いいの!」

「まあ、シンシアがいいならいいけどね〜」

「またニヤニヤしてる」

「だってシンシアが可愛いから」

「そのニヤニヤ辞めてよ」

「それは無理だよ。

可愛いシンシアを見てニヤニヤしないなんて不可能だね」

「可愛い可愛い言うな」

「なんで?

可愛いのに」

「恥ずかしいからに決まってるでしょうが!」


またどつかれた。

なるほど。

これは照れ隠しだったのか。


「じゃあもう可愛いって言うの辞めるよ」

「えっ!

それはそれで……」


段々と声が小さくなっていくから後半聞き取れない。


「なんて言ったの?」

「……欲しい」

「なんて?

何が欲しいの?」

「あーもおっ!

可愛いは言って欲しいって言ったの!」

「さっきは言うなって言ったのに?」

「うっさいな!

それでも言って欲しいの!

気付けバカ!」

「えー、難しいな〜

でもそうやって怒ってるシンシアも可愛いよ。

もちろんさっきまでのはしゃいでるシンシアも可愛いけどね。

やっぱり僕の妹は世界一可愛いね」

「そこまで言えとは言ってない!」


またまたどつかれてしまった。

なんて難しいんだ。


結局デートが終わるまでにいっぱいどつかれた。

どつくのに可愛いとは言って欲しいらしい。

まあ、そんな我儘な所も可愛いんだけどね。


閉園時間が近づいて来たから遊園地を出てシンシアを送り届ける事にした。

ふとシンシアが恐る恐る手を繋いで来た。

柔らかくて温かい手から早い鼓動が伝わって来る。

シンシアの方を見るとそっぽを向いていた。


「あら?

二人共今おかえりですか?」


買い物籠を持ったアンヌにバッタリ会った。


「お姉ちゃん!?

何してるの?」


シンシアは慌てて手を引っ込める。


「何をそんなに慌ててるの?」

「慌ててない!

何も慌ててないから!」

「ふふっ。

まあ落ち着いてください」

「アンヌは買い物帰り?」

「はい。

最近ヒカゲ君に晩御飯作って貰ってばかりなので、今夜は私がお料理しようかと思って」

「別にいいのに」

「まあそう言わずに。

今夜はクリームシチューにしようと思います」

「やったー。

楽しみー」

「シンシアも食べに来ますか?」

「うん」

「私も行くー!」


突然ヒナタが現れた。

と言っても、実は朝からずっと付けて来ていたのは知っていた。


「ビックリしました!」

「アンヌお姉ちゃん。

私もクリームシチュー食べたい」

「はい。

もちろんいいですよ。

じゃあ後でヒカゲ君のお部屋に来てください」

「はーい」

「ちょっと待って!!」


シンシアが急に大きな声を出した。


「どうしたのですか?」

「お姉ちゃん。

どうしてヒカゲの所なの?」

「どうしてって?

ヒカゲ君のお部屋で作るからですよ」

「なんでわざわざヒカゲの所で作るのよ」

「わざわざ?

最近ヒカゲ君のお部屋で泊まらせて貰ってるのでわざわざって事は無いと思いますけど」


アンヌは君を傾げる。

ヒナタとシンシアが僕を凄く睨んで来た。


「え?

なになに?

二人共どうしたの?」

「お兄ちゃん!

どう言う事なの!」

「なにが?」

「ヒカゲ!

なんでお姉ちゃんがヒカゲの所で泊まってるのか説明しなさい!」

「説明となにも、ホテル代勿体無いじゃないか」

「なら私の所でもいいでしょ!」

「それはまあ……

そうだけど……」

「アンヌお姉ちゃん。

お兄ちゃんの所じゃなくてシンシアか私の所に泊まった方がいいよ」

「えー、ヤダよ。

アンヌは僕の所に泊まってよ」

「ダメに決まってるでしょうが!」

「なんで〜」

「あんたお姉ちゃんに何かするでしょ!」

「……しないよ」

「何よその間は!」

「アンヌお姉ちゃん。

お兄ちゃんに何もされて無い?」

「ちょっとヒナタ。

失礼だよ。

僕がアンヌに何かするわけ無いじゃないか」

「え!?」


アンヌが僕の言葉に反応して驚きの声を出した。

それに反応してヒナタとシンシアが再び僕を睨む。

いやこれは睨み付けていると言った方が正しい。


「お兄ちゃん!

アンヌお姉ちゃんに何をしたの!」

「ヒカゲ!

まさかお姉ちゃんに手を出したんじゃないでしょうね!」

「ま、まさか!?

アンヌお姉ちゃんにあんな事やこんな事を……」

「ヒ〜カ〜ゲ〜」

「ちょっと待って。

してないしてない」

「そうですよ。

二人の想像するような疾しい事まではしていません」

「まで?

までってどう言う事よ!」

「お兄ちゃん!

アンヌお姉ちゃんはダメって言ったよね!

もう今日からアンヌお姉ちゃんは私かシンシアの部屋に泊まって貰うからね」

「そんな〜。

僕の部屋でいいじゃないか」

「「絶対ダメ!!」」


二人にハモってダメと言われた。

でも僕は諦めない。

だってアンヌは僕の癒しだからね。

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