第3話

剣聖であり、王立魔法剣士学園を主席で卒業したエルザは王国からの対応がいい。

だから最新医療施設が揃っている王立王都騎士団病院に入院していた。

しかも個室。

その中でもグレードの高い個室だ。


室内は広くホテルのスイートルームみたい。

僕が治療した事で殆ど処置の必要無かったエルザ暇で暇で仕方なく、剣のトレーニングを出来るぐらい広い。


「コラッ!エルザ!

安静にしていないとめっ!です」


そんなエルザを見たアンヌが叱っていた。


いいな〜

そのめっ!って言うの可愛いから僕もして欲しい。


「ねえアンヌ」

「どうしましたか?」

「めっ!ってやつ僕にもやって」

「ごめんなさい。

言ってる意味が良くわからないです」

「可愛いから僕にもめっ!ってやつやって欲しいんだ」

「う〜ん。

何を言ってるのか理解出来ません」


アンヌは頭を抱えて悩み出した。


そんなに悩む事かな?

可愛いくめっ!ってして欲しいだけなのに。


「アハハハ。

全くヒカゲ君はいつも通りだね。

でもアンヌをあんまり困らせたらダメだよ」

「困らせてるつもりは無いんだけどね。

それより体の具合は大丈夫なの?」

「まあね。

すこぶる調子いいよ。

もう退院してもいいはずなのに、一応とか言われて出してくれないから鈍って仕方ないよ」


そりゃあ僕が治療したからね。

もうすっかり治ってるはずだ。


「そんな事を言ってはいけませんよ。

お医者さんの言う事は聞かないといけません」

「自分の体だから分かるよ。

まあ、そう言いながら私自身も回復の速さにビックリしてるんだけどね。

あの一撃はもっと深かったと思うんだ」

「そう思うなら今は安静にしていなさい」

「アンヌは心配症だな〜」


そう言いながらもエルザは大人しくトレーニングを中断してタオルで汗を拭き始めた。

そのまま徐にTシャツを脱ぎだす。

鍛えられて引き締まった色白の体と黒いブラジャーのコントラストが綺麗だ。

と思った瞬間アンヌの手に両目を塞がれた。


「エルザ!

何してるのですか!?」

「何って、汗かいたから着替えるんだよ」

「ヒカゲ君が居るんですよ」

「知ってるよ」

「恥じらいって物が無いのですか?」

「いやいや。

私だって誰にでも見られて良いわけじゃないさ。

でもヒカゲ君は家族みたいな物だからね。

ヒカゲ君だって私の裸見たって何も思わないさ」

「そんな事ありません。

ヒカゲ君は凄くエッチなんです」

「それは相手によるさ」

「僕はエルザの裸を見たらエロい目で見るよ」


だってエルザは美人のエルフなんだよ。

エロい目で見ないわけ無いじゃないか。


「え?

そうなのかい?

それは驚いたな」

「ほらみなさい」

「それを言っちゃうあたりもヒカゲ君っぽいね」


エルザは笑いながらズボンも脱いで体を拭き始めた。

ちなみにパンティーも黒だ。


「コラッ!

早く服を着なさい!」

「いいじゃないか。

今はアンヌが目隠ししてるんだから」


残念。

僕は目隠しされたって見えるんだ。

だから今はガン見だよ。


「そう言う問題じゃありません!」

「本当にアンヌはせっかちだな〜」


そう言ってエルザは病院着に着替えてボーナスタイムは終わった。

しっかり堪能出来て役得だったよ。


「それにしてもヒカゲ君。

また強くなったみたいだね」

「そんな事無いよ。

僕はポンコツのまま」

「またまた〜

私の魔眼は誤魔化せないよ。

前とは違う力が見え隠れしてる」

「そうかな〜

まあ、少しは成長したって事だね。

ちょっと喉乾いたから飲み物買って来るね」


僕は逃げるように病室を抜け出す。

普段は全ての力を隠している。

だけど隠しきれない僅かな痕跡をエルザの魔眼には見えるみたいだ。

前とは違う力って言うのは、きっと邪神力の事だろう。


「で、ソラはこんな所で何してるの?」


僕はナース姿で後ろから近づいて来るソラに声をかえた。

いかにも男受けしそうなあざといナース姿だ。

正直エロい。

なんか最近僕の周りにエロい女の子多くない?


「潜入してるの」

「仕事?」

「ちがうよ。

主の血が飲みたくて潜入したの」

「それだけの為に?」

「そう。

だからお注射しましょうね」


ソラが注射器の代わりにニヤッと牙を見せる。


「そう言うプレイは――」

「嫌い?」

「嫌いじゃない。

むしろ好きだけど、公然の場ではやらないよ」

「私は気にしない」

「いや、気にしようよ」

「主がそう言うなら後でにする」

「いやいや。

後でもしないよ」

「じゃあ今する」

「だから公然の場ですることじゃないって」

「じゃあ後でする」

「後でもしないって」

「じゃあ今する」

「しないって」

「じゃあ後――」

「ループしてるよ」

「今か後かの二択」

「やらないと言う選択肢がある」

「ぶー。

主の意地悪。

こうなったら今ここで幼女姿になって駄々捏ねるしか無い」

「ダメだよ」


なんて恐ろしい脅しだ。

ナース姿をさせた幼女に駄々こねられるとか社会的に死ぬじゃないか。


「主。

今か後かの二択」

「……」

「幼女姿になろうっと」

「わかったわかった。

今あげるからちょっと移動しようか」

「やったね。

凄く楽しみ」


ソラがヨダレを拭うってから僕の影に潜って消えた。

これは後で大変だぞ。

血を吸うだけで終わらないから困るんだよな。

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