第15話

エミリアに会いに行ってるからリリーナは不在。

この自由時間を有意義に使いたい。


そう言えばルリが洞窟調査に行くって言ってたっけ?

なんだか楽しそうだし僕も洞窟探検行こうっと。


早速洞窟まで行くと既に奥の床は崩れて下に道が出来ていた。

そこを降りると下ではルリが調査していた。


「あっ、マスター!

どうかされましたか?」


ルリが僕に気づいて近づいて来る。

なんだか少し嬉しそうにも見える。


「僕も洞窟探検したいな〜

と思って」

「お手伝い頂けるのですか?

ありがとうございます」


ルリが優雅に礼をする。


「ですがマスター。

私にはわかっております」

「なにが?」

「マスターには別の目的があると」

「いや無いよ。

普通に洞窟探検しに来ただけだよ」

「大丈夫です。

ルリは覚悟出来ております」


ルリが小さな胸を張って言うけど……

どうしよう?

全然言ってる意味がわからない。


「何の話?」

「ルリにお仕置きしに来たのですよね?」

「へ?

そんな事無いよ」

「ルリはマスターのお楽しみを中断させる為にわざとレイナ様を向かわせました」

「だろうね」

「これはお仕置き案件です」

「いや、そんなのでお仕置きって……」

「さあマスター。

思う存分お仕置きしてください!

あの女騎士への不完全燃焼を是非ルリへのお仕置きで!」

「お仕置きはしません」

「はうっ!」

「変な声出すな」

「もっとです。

もっと叱ってくださいマスター」

「帰って来なさいルリ。

そっちの世界に行ってはいけません」

「あう〜」


ダメじゃん。

本当に目覚めてるよ。

もう他人に見せられない表情してるし。


「とりあえず何かわかった?」

「申し訳ありません。

新しい事は何も。

これはお仕置きですか?

お仕置き案件ですね」


それはもうキラキラと目を輝けせながら言ってるし。

ダメだこりゃ。

……よし、無視しよう。


僕は大きな扉の前に向かって歩いていく。


「無視ですかマスタ〜

無視は流石のルリも堪えます」


ルリが慌てて追いかけて来る。

堪えるのなら無視を続けよう。


「あっ、でもこの感覚は新鮮。

ああ、いいかもしれません。

ゾクゾクします。

また新しい扉が――」

「開いたらダメだって言ってるでしょ」

「あうっ〜!!」

「ああ、もう。

その扉じゃなくてこの扉を開く調査に来たんでしょ」


そう言って僕が扉に触れた瞬間、何の力も入れてないのに扉が向こう側に倒れた。


パターン!と大きな音が響き渡る。


「「……」」


僕とルリは顔を見合わせる。


「流石マスターです!

扉もマスターの凄さに恐れを成してひれ伏したんですね」

「そんな事あるわけないじゃん」


本当に何もしていないんだけど……

なんで?

軽く触れただけだなのに。


僕達は扉の奥を覗く。

前と一緒。

奥は広場になっていて、大きなクリスタルがる。

僕達が部屋に踏み入れた瞬間クリスタルが輝き出して、真上に飛んで天井を突き破って天の彼方に消えるのも一緒。

と言う事は次は……


クリスタルがあった穴を中心に地面が陥没し水が湧き出して大きな泉が出来た。

その泉から大きな水飛沫をあげてドラゴンがで顔を出した。


今度は蛇みたいなタイプのドラゴンだ。

これも龍神なのかな?

いろんなタイプがいるんだね。


とか呑気に思ってたら口からウォータージェットのような水流が吐き出された。

僕とルリが避けた後の地面にぽっかりと穴が空く。


「なになに?

君も僕とやろうってのかい?

いいよ」


僕はナイトメアスタイルに変身してロングコートを靡かせる。


「俺が相手になってやろう」


決まった。

と思ったら。


「マスター。

ここは私にお任せください」


ルリが何かを期待するような目で見て来る。


なるほどなるほど。

これはまたお預けが欲しいんだな。

そうはいかないよ。


「そうか。

なら任せた」

「はい!

お任せください!」


ルリがとても嬉しそうに返事をして、足取り軽く前に出る。


なんかめっちゃ喜んでるじゃん。

なんなの?

どっちにしても喜ぶの?

ドMって最強じゃん。

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