第11話
エミリアと約束したからね。
それにこう言う正義の行いに僕みたいな悪党が関わってはいけない。
だから僕は治療薬の事業には手を出さない。
ちゃんと正義の者によって解決されるべきなんだ。
「ね、言ったでしょ。
心配しなくても正義が勝つんだって」
僕はリリーナとレイナの突撃に合わせて逃げ出した建物を見下ろしながら隣にいるルリに言った。
「はい。
マスターの仰る通りでした」
まあ、リリーナ達が来るまでの時間稼ぎぐらいは許容範囲かな。
なんたってEMILIが目覚めないのは僕の所為でもあるからね。
それによってエミリアが遊ばれちゃうのは僕の美学に反する。
「それにしてもマスター。
随分と楽しそうでしたね」
「え?
あ、あはは。
そうかな〜」
確かにね。
興が乗り過ぎてやり過ぎちゃったのは認めるよ。
だって楽しかったんだもん。
それにリリーナ達が来るのも思ったより時間かかりそうだったし。
だけどちょっとヤバかったな〜
なんか興が乗り過ぎてやり過ぎちゃって、本当にガバッと襲っちゃう所だったよ。
まあね。
エミリアも散々僕を誘惑して来た訳だし。
お茶目な仕返しって事で許してくれないかな?
やっぱり欲求不満の時にあんな事するものじゃないね。
ん?
なんかルリが何か言いたそうにしてる。
「どうかした?」
「やっぱり大きな――」
「この話はやめよう。
うん、それがいい」
危ない危ない。
絶対今の話は良くない方に進むに決まってる。
ルリがなんか拗ねた目で見てるけど気にしない。
だって仕方ないじゃん。
僕は悪党だからああやって女で遊ぶの好きなんだもん。
これでも我慢した方なんだよ。
「そんな事よりも、せっかく感動的な再会と言うハッピーエンドを迎えたんだ。
エンドロールで水刺すかもしれない不粋な奴を排除しに行かないと」
建屋の裏口から出て行くイースバーン達と、それを追うレイナを目で追いながら話を逸らす。
「はい。
では私が」
「いや、僕が行くよ」
「マ〜ス〜タ〜」
ルリがジトーっとした目で僕を見る。
「どうしたんだよ。
そんな目をして」
「私はお伝えしたはずです。
いつでもルリをお使いくださいと」
「一体何の話をしてるの?」
ルリは口を尖らせて僕に言い寄って来る。
「だってマスターはあの女騎士を犯すおつもりではありませんか」
「な、なぜそれを……」
「やはり小さい胸の私の体に魅力がありませんか?」
「結局そこに戻るの?
何度も言ってるでしょ。
僕は大きいのも小さいのも好きなの。
って、本当に何回言わせるんだよ」
「では胸の大きさでは無く、私の体に魅力が無いのですか?」
「んな訳あるか。
自分のポテンシャル分かってないの?
ルリは凄く美人さんだよ」
「マスターにそこまで拒絶されると自信を無くしてしまいます」
「拒絶はしてないってば」
「でもマスターは女騎士の方がお好みだと……」
「そんな事は言ってないよ」
「ではルリの方が好みですか?」
「そりゃあルリの方が美人さんだからね」
「ならルリをご賞味下さい」
「ご賞味しません」
「なぜですか?」
「そんな泣きそうな目で見ないでよ〜
う〜
わかったよ。
もう犯さない。
あの女騎士も犯さない。
それでいいでしょ?」
「はい。
それなら仕方ありません」
ルリはスッといつもの表情に戻る。
まさか謀られた?
そんな〜
せっかく心置きなく犯せる相手だったのに。
「あの〜
ルリ?」
「なんでしょうか?」
「もしかしてわざと?」
「わかりますか?」
「わかりたく無かったけどね」
「怒りましたか?」
「いや、怒っては無いけど」
「怒ってルリをめちゃくちゃにしたくなりましたか?」
「なんでそうなるんだよ。
なってるわけないじゃん」
「そうですか〜」
ルリが物凄く残念そうな顔をする。
なんでなのか僕には全く分からない。
「なんでそんな残念そうな顔するの?」
「前にもお伝えしたように私はマスターに手籠めにされる事を望んでおります。
それはもう無茶苦茶に。
私はマスターの前だけはドMですので」
「いらない。
前にも言ったけど、そんなカミングアウトはいらないよ」
「手篭めにはしてくださらないのですか?」
「手篭めにはしません」
ルリがブルブルっと体を震えた。
「どうしたの急に?」
「マスター」
「なに?」
「マスターにしませんしませんと拒絶され続けられますと――」
「だから拒絶してる訳じゃないって」
「お預けされてる感じが堪らなくなってまいりました」
「気の所為だよ。
それは絶対気の所為だ」
「新しい扉が開きそうです」
「その扉は開いてはいけない扉です。
今すぐ閉めて鍵を閉めなさい」
「あうっ!」
「変な声を出すな」
ヤバいぞ。
これ以上話を長引かせるとヤバい気がする。
ってか、そんな話している内にあっちのタイミング逃しそうだ。
「と、とりあえず行くとしようか。
悪党として身内の不幸になる可能性がある物は消しておかないと」
僕は半ば無理矢理話を逸らす。
「じゃあ足止めの方はお願いね」
「はい。
わかりました」
ルリはスッと消える。
よしよし耐えた。
さて行くとするか。
それにしても、僕を謀るとはなかなかやるではないか。
だが、まだまだ詰めが甘いね。
犯さないとは言ったけど、嬲らないとは言って無い。
やっほ〜
久しぶりに女遊びだ〜
楽しみ〜
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