第3話

翌る日。

リリーナは学会の為に出かけて行った。


僕は1人ベットの上でムラムラした気持ちを必死に沈めながら寝ようとしていた。


リリーナの奴め。

また全裸のまま僕にぴったりくっついて気持ち良さそうに寝やがって。

おかげでまた一睡も出来ていない。


しかも早起きしたと思ったら、全身使って散々誘惑して来やがって。

なんなのあれ?

あれがリリーナの母親伝授の技なの?

実の娘になんて事教えとるねん。

エロ過ぎるだろ。

いい加減にしろよな。

一回本気で犯してやろうか。


おっといけないいけない。

また思い出してしまう。

とりあえず寝よう。


……って寝れるか。

ダメだ。

女を買いに行こう。


僕はホテルを飛び出した。

とにかく朝から空いてる娼館を探さないと。


おやおや?

あれはトレインじゃないか。

久しぶりにおちょくっちゃおっと。


「やあ、トレイン。

何してるの?」


僕は騎士達の前に立って指示を出しているトレインの後ろにこっそり近づいて声をかけた。


「うわっ!

なんだ!?

げっ!?

なんでお前がいるんだよ」


ビックリして振り向いてからのこの嫌そうな顔。

この反応を待ってたんだ。


「げっとは酷い挨拶だな〜」

「お前と会うと碌な事が無いからだよ」

「そんな事言うなよ〜

僕とトレインの仲じゃないか〜」

「じゃあ何の用だよ」

「おちょくりに来たの」

「やっぱり碌な事無いじゃねぇか!」


トレインはイライラしながら頭を掻きむしった。


「やっぱりトレイン面白〜い」

「俺は全く面白くねぇよ!」

「それで何してるの?

騎士みたいなコスプレして」

「コスプレじゃねぇ!

本業だよ本業!」

「またまた〜

そんな冗談言って〜」

「冗談じゃねぇ!

ぶん殴るぞ!」

「お仕事しなくていいの?

みんなポカーンとしてるよ」

「お前の所為だろうが!」


トレインは慌てて振り向いて整列している騎士に指示を出す。


「全員持ち場につけ。

タチの悪い奴に絡まれない様に注意する事」

「「「了解」」」


騎士達が一斉に散らばった。


「タチの悪い奴に絡まれる事があるの?

大変だね」

「そう思うなら絡んでくるな」

「もしかしてタチの悪い奴って僕の事?」

「もしかしなくてもお前の事だ」

「酷いな〜

間違って無いけど」

「自覚あるなら辞めろよ」

「え〜

やだよ〜

だってそんなのつまらないじゃん」

「いい加減にしないと公務執行妨害で捕まえるぞ」

「え?

今公務中だったの?」

「見たら分かるだろうが!」

「ここは管轄外なのに?」

「そうだよ」

「何の公務?」

「学会に参加するアポロ王子の護衛だよ」

「聞いててなんだけど、言って良かったの?」

「別に学会への参加は公になってる事だからな」

「ふーん。

で、そのアポロは?」

「会場に入って行ったよ」

「ついていかないの?

護衛なのに?」

「知るかよ。

毎回なんだよ。

アポロ王子は俺達に中に入るなってな。

だからこうやって周辺警備してるんだよ」


よっぽど聞かれたく無い内緒話でもあるのかな?

まあ、ずっと護衛が一緒だと疲れちゃうもんね。


「俺達はこれに反応があるまで入れないんだ」


そう言って腕輪を見せる。

中から信号が送られると光って知らせるらしい。


「そっか〜

トレインも大変なんだね」

「そう思うなら絡んで来るなよ」

「それは難しいな〜」

「何一つ難しくないだろ!」

「難しいよ。

だって僕はトレインを見るとおちょくりたくなって仕方ないんだ」

「それは間違い無く病気だ」

「そうだよ。

病人には優しくしないとダメじゃないか」

「なんで俺が責められてるんだよ!」

「なんでそんなにイライラしてるの?」

「お前の所為だろうが!」


トレインが地団駄を踏み始めた。

かなりイライラが溜まってるみたい。

本当にトレインは分かりやすくて面白いな〜


「まあまあまあ。

日々のストレス溜まってるのは分かるけど、人の所為にしたらダメだよ」

「このイライラは純度100%でお前の所為だ!」

「ほらそうやってまた人の所為にする〜」

「殴りて〜

今すぐボコボコになるまで殴りて〜」

「ダメだよそんなの。

善良な国民を殴るなんて騎士として有るまじき行いだよ」

「お前が国民なのは認めるが善良なのは絶対に認めねぇ!」

「確かに善良では無いかもしれないけどさ。

今、僕は困ってるんだ。

困ってる国民を放っておくなんてしないよね?」

「いいや。

お前は一生困っとけ」

「実は探し物しててね」

「お前、俺の話を聞く気無いな」

「朝から空いてる娼館を探してるんだ」

「お前。

そのしょうもない要件の一つの為だけに俺に絡んで来たのか?」

「そうだよ」

「ストローグ長すぎだろうが!

しかもよりによって朝から空いてる娼館だって?

お前、あんなに可愛い女の子侍らせといて良く言うな!」

「別に可愛い女の子侍らせてなんか無いよ」

「うるせぇ!

あのかわい子ちゃんの誰かで発散しとけ!」

「わかったよ。

じゃああの騎士部隊長のお姉ちゃんで発散しとくよ」

「なんでそうなるんだよ!」

「だってお酒飲ませたら簡単にやれそうだから」

「お前!

絶対辞めろよ!」

「もう冗談だってば。

そんなにムキにならないでよ」

「お前ならやりかねん!」

「それもそうだね。

そうなら無い為に朝から空いてる娼館教えてよ。

あれ?もしかして娼館って知らない?

娼館ってのはね」

「知ってるわ!

むしろ詳しいわ!」

「そう言う清々しい所好きだよトレイン」


僕はトレインに教えて貰った娼館に向かう。

流石トレイン。

すぐに出て来たよ。

やったね。

早速お店に到着。


さーて、どんな女で遊ぼうかな〜

って思ってたのにな〜


「主」


僕の真横に現れたミカンが僕をじっと見ていた。

なんでミカンがここにいるの?

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