第10話ハスキー

私「来てしまった」

一人での初ライブ。楽しみ半分、不安半分。周りを見渡すと、赤、青、ピンク、黄色等カラフルな衣装、推しの顔や名前が描かれたTシャツ、、、そしてゼッケンを着た人たちがライブが始まるのを今か今かと待っていた。

私「俺、場違いじゃないか」

周りを見れば見るほど不安になってきて、「にわかもんが来るんじゃないよ」と言われてるような気がして、いっそ帰った方がいいのではとさえ考えるようになっていた。

不安な気分のまま開場時間が迫る中、ふと後輩に言われた事を思い出した。

後輩「ライブに行ったらまずは物販ですよ」

私「そうだ、物販!」

後輩「物販で手始めにペンライトとタオルを買う事をおすすめします」

後輩「もちろん買わなくても楽しめますけど、持っておくほうがより楽しめますよ!」

私「せっかくだしな」

私は物販で早速ペンライトとタオルを購入した。

スタッフ「ペンライトの故障等がないかライブ前に点灯の確認をお願いします」

私「わ、分かりました」

スタッフに言われた通り私はペンライトの確認を行った。

カチッカチッ

私「あれ?つかない」

ボタンを何度押してもライトが点灯する事はなく、電池を付け外ししても無理だった。

私「最悪だ。もうすぐ開場なのに!急いで交換してもらわないと!」

急いで物販所に向かうと

私「閉まってる。なんでさっきまでやってたのに」

点灯しないペンライトを見つめながら途方に暮れていると

「な、長押し」

ハスキーな声が聞こえた。

ふと後ろを振り返ると点灯するペンライトを持った赤い髪の女が立っていた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る