第50話 感染

「ちょっと、広げるなんて」

「やかましい、力を入れて出せ」

「そんな…… んあっ」

 指が突っ込まれて、かき回される。


「あっねえ、さっき中途半端だったの、する?」

 さっきは、思いっきり達して、膝をついていたはずだが?


「こんなものをたらす、汚い穴は必要ない」

「洗ってくるから、ねっ、そうしましょ」

 写真を撮ったのが分かったら、そそくさと浴場へ走っていく。


 床に垂れたそれを、入れる物を探す。


 どこかに行った時に、海岸で買ってきた鳴き砂。

 その中身を取りだし、軽く洗う。

 スプーンで、指を突っ込む前に垂れたところをすくい瓶につめる。


 冷蔵庫の奥、目立たない所へと放りこむ。


 スマホで、遺伝子検査キットを二個購入する。

「あの様子なら、俺じゃないだろう」


 色々と考えていると、髪の毛を乾かすのも中途半端に、裸のまま出てきた。

 さあ、しましょと言いたそうに。


「パートは、途中じゃないのか?」

 そう言われて、思い出す。あの上司のお供と言って出てきた。

 あいつが帰社してしまうと、ナニをしていたとなってしまう。


「あっ、そうよ。ごめんなさい」

 そう言って走り回り、化粧をして飛び出していく。


 久しぶりに、化粧無しの顔を見たが、あんな物なんだよな。

 本人じゃないから余計になのか、冷める。

 前の体の時、金目当てだが幾人も抱いた。


 あいつらは、具合を良くするために、トレーニングをするような、根性を持っていた。無論、化粧どころか、骨まで削って美を作っていた。

 それに比べれば、こいつはだめだ。


 玄関先で、転びそうになりながら飛び出していく。


 さあて、こいつが持っていたショボいパソコンを立ち上げる。

 かわいそうに、素人投稿系のページがキャッシュされている。


 興味が無いし、無慈悲に消していく。


「あっそうか」

 嫁さんの部屋へ移動をして、パソコンを探す。


 家計簿用と言って買ったもの。

 こちら側の部屋は、子どもと嫁さんの部屋となっている。


 俺がいる部屋は、三畳と元々狭く三角な部屋。クローゼットレベル。

 エアコンはよく効くが。


 パソコンは、起動をするとパスワードを聞いてくる。

 だが、OSは古く暗号化されていない。


 マルチ工具セットを持って来て……

 体が違うことを思い出す。

 元の部屋と違い、工具も何もかもがない。


「家には帰れんし、仕方が無い」

 電気屋とホームセンターへ向かう、トルクスドライバーが入った安物セットと、シリアルATAをUSBへ変換をするアダプター、それと外付けポータブルハードディスク。

 それとホームカメラを二つ。


 金がない、早くしなければ。


 まず嫁さんのノートパソコンの中身を、すべてコピーをする。

 組み立て直し、元のところに返す。


 ついでに、嫁さんの部屋に一つと、ダイニングとリビングが見えるところへカメラを設置。


 動作検知で撮影動画は、クラウドに保存。


 さて俺のほうだ、前の体の時に隠した金。

 直にはいけないから、VPN経由で、さらに特殊なサーバを介して、認証。

 鍵を持ち、ある銀行へアクセス。


 こちらのMACアドレスなどはすべて偽装しているし、複数の経路を使用。

 スイスを含めていくつかの銀行を経由して、こいつの口座へ放り込む。


 これだけすれば、調べることができないか、時間が稼げる。

 値段が変わらない現物を、どこかに隠すことを考えておこう。


 そして前の情報で、証券会社へアクセスはできない。

 この男で新たに作らなければ。


 ネットバンクと、ネット証券。

 マイナンバーを持っていたので、申し込みをスマホで行う。


 ざっと、仕事を済ますと、丁度子どもを連れて嫁さんが帰ってきた。

結愛ゆいお帰り」

「あっぱぱだ。どうしたの? 今日お休みだったの?」

「ああそうだ、保育園は楽しかったか」

「うん」

 嬉しそうに答える。


「そうかそうか」

 そう娘は、時間が折り合わず、あまり会わない割に懐いている。


 そして丁度、晩飯ができる時間に外に出る。

 毒でも盛られちゃかなわん。


 ノートパソコンは当然持っている。


 レンタルルームに入り、中身を確認。

 いくつか、相手からその手の写真が来ているが、あいつのスマホを盗らなければだめか。


 こっちは、メール。

 他にも数人、怪しい奴らが居るな。


 結婚した後は、止まっているが、パートを初めてから復活。

 昼間時間が取れる、大学生とかサラリーマン。

 出会い系かなあ。

 今一、これという証拠がなく、諦める。

 

 使えそうなデータは、保持。

「主には、スマホか」

 一式抱えて、家へと帰る。


 シャワーは浴びた。

 小脇には、丈夫目の金庫を抱えている。

 寝る時とか、風呂に入る時そんな時間が、安心できない。

 スマホを盗っておいて、知らないわよとあっさり言いそうだ。


「お帰りなさい。ご飯があるわよ」

 そんな事を言って、和やかな女は放置。


 俺は、床にがっしり、金庫をビス留めをする。

 貴重品はその中へ入れる。


 色々と考え対応した。だけど、そんな必要はなくなった。

「ねえ、結愛も寝たしゆっくり話をしない。こんな状態だと落ち着かなくて」


 そう言われてリビングへ移動。

「まず離婚は確定事項。それにお前、あいつだけじゃなく他にもいるだろう」

「いないわよ何を言っているの」

 盛大に目が泳ぐ。


「そんなはずは無い」

「ねえ落ち着いて、嘘なんか言っていないし。ねえそれより、久しぶりにしない?」

 そう言ってにじる寄ってくる。

 この体、本体はどう思うのか分からないが、俺は気にしない。


 だがこの状態、後々を考えればどうだ?

 抱くのは、正解か不正解か。


 そうか抱きながら、喋らせてやろう。


 技と力を使いながら、口を割らせる。

 普通では得られない快楽。

 それを与えながら、話を聞けと思っていたら……

 なんか、リンクをしているのが分かる。

 

「うん? こいつのことを使役した?」

 なんとなくそう感じる。


「これに相手を全部かけ」

「はい」


 そして、この能力。

 感染をする。

 俺の能力ではないから、この男が持っていた因子が発動をした?


 この女を抱くと、相手にも移りリンクが増える。

 実におもしろい。

 おれは、最強のおもちゃを手に入れた様だ。

 鬼達では失敗だったが、生身の人。

 奴らは、どう対応するだろうか?

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