第四章 脅威は広がっていた
第44話 高校入学と幼馴染み達
この三年、大きな動きも無く、彼らは同じ高校へと進学する。
幽奇大手前高校。
単純に家から近いと言うだけだが、普通科と特進、そして家政科が存在し、相対的に女子比率が高い。
これは、近所にあった女子高が、少子化のために統廃合したからである。
そんな中で、四人は目だつ。
旧家の特権、美男美女。
地毛に軽い天然パーマがかかっていて、ハッキリ分けずナチュラル。
ずぼらな髪型だが、最近はそういうのも流行のようだ。
一重で鋭い目、そして一直線の眉で少しきつめに見える。
髪はセンターで分けている。
一重だが、丸みのある目で優しく見えるらしく実は、少し痩せてから人気がある。
お嬢さんと言うより活発な感じ、だがCカップ。
少し丸顔、くりっとした目。燃えるから、ショートの髪。
基本がずぼらなため、分け目がハッキリしない無造作ヘアだが、颯司と同じくクリクリ頭。
悔しいことにBカップ。
バッチリお嬢さん系、ボブカットで軽く内巻にしている。
二重で少し丸目。
奥手だったようだが、自ら情報を取得して、ここ1年で、むっつりに進化したようだ。
そんな四人が集まって話しをする姿は、入学後から話題となる。
そして、彼らの家が旧家であることも、さすがに高校生になると有名になってくる。
ムクムクと欲も出てくるお年頃。
好きとか嫌いだけではなく……
金があるとかないとか……
「風祭君は怖そうだけど、土祭君はやさしそうじゃない?」
「そうそう、甘やかせてくれそう」
そんな会話が漏れ聞こえてくる。
ただ、颯司の耳にはすべて聞こえている。
いい加減、皆の本音にはうんざりしていた。
ただ、朱莉や雫には、聞こえない話しだ。
言うこともないので黙っているが、二人に対して不届き者もいる。
朱莉はがきっぽいからだませそうだとか、雫はお嬢さんぽいから一度やれば言うことを聞くんじゃねとか……
部活には行っている奴らは、一月もすると上級生からくだらない情報を得るようだ。
それも若さ故の過ち、偏った情報を信用することになる。
雫は怒らせると怖い。
陸上でも、相手を溺れさせることができる。
顔だけを水に囲まれる恐怖。
どうやっても拭えないときの絶望。
颯司や、陸斗は受けたことがある。
彼らは、術があるから逃げられたけど、常人には無理だ。
一応雫には情報を入れておく。
相手の名前と人数。
だがそれを喋っていたら、おもしろそうだと、朱莉達が乗ってきた。
ある日、雫を餌に奴らを誘う。
普段通らない公園。
夕暮れの赤い光の中で、憂いだアンニュイな雰囲気を雫は醸し出す。
そう本人は、乗り気じゃなかった。
ただ襲ってくれば対応するが、わざわざというのはどうかと……
だけど、性旬真っ盛りの男どもは乗ってくる。
「おい今日は、お嬢様が一人で帰るらしい」
「おし、やるぞ」
そして股間を張らせた野郎達が五人。
「水祭のお嬢さんだ、今日は一人で帰りかな?」
じとっと見て、首を振りながら無言で立ち、その場を離れようとする雫。
だが回り込んできた。
そこに、
彼女も百六十センチになり五十二キロCカップの体型。
少し細面で、彼女も少し美人顔である。
「あなたたち、ナニをしているの?」
そう声をかけるが、怖いのだろう。
鞄を抱きしめ、足は震えている。
「うーん。この子も結構有りだな」
「おら、ついでだお前も来い」
とぷん。五人全員に、陸上ではあまり聞こえない音がした。
音もなく、驚きもがく。
ただ、クルクル回転をしたり、頭を自身で叩いてみたり。
そんな不思議な光景を、違う形で昔見た。
あの時は風。
そして、今回は水。
「やっぱり、水祭さんも超能力者なんだ」
「うーん? やっぱり驚かないんだ……」
おバカな五人を放ったまま、しゃべり始める。
隠れていた颯司達も、出てきた。
「早すぎだ。これじゃあ罪に問えないな」
そこで、人見は気がつく。
「ごめんなさい。彼らを捕まえるために…… じゃまをしちゃった」
「いや良いよ。謎の事故が起こったけれど反省をするだろう」
一応まだジタバタしている間に、術が解除される。
「くっ、いやあああぁ」
皆が泣きながら走っていった。
「なんだあれ? 死ぬかと思った」
「分からん。だけど俺、あと五分はいけた」
謎の意地の張り合いが始まる。
話し合いの結果、お城だったので、守護霊的な何かが作用したと言う事で、彼らは謎の納得をした。
そして、学校の部室に引っ張り込む計画を立て始めた。
懲りない奴ら、そして部室を使うなら、悪い先輩にも話しが通る。
「へっへっへ、初物か」
彼らは、謎の段取りを決め始める。
それが、手を出してはいけない物だと気がつかずに。
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