第44話 文化祭②-3 謎解き③

引き続き謎解きですので時間がある方はぜひ一緒に解いてみてください。

そんなに難しくはないとは思います。


――――――――――


▼松村咲音視点▼


――――――――――


フルーツ飴の部屋に入るとヨーヨー釣りの時のように同じような屋台が同じように並んでいて、いつか聞いたことがあるような音楽までなっている。

さっきよりも人は少なくなったが、あたしたちよりも先を行く人はすでに謎解きに取り組んでいる。

あたしたちも遅れを取らないように空いている屋台に向かう。


「アイ ハブ ア パイン飴~。アイ ハブ ア リンゴ飴~。Uhhhhh~♪ウン!串パイナップルアップル……」


時代遅れのこのネタにあたしたちは本能的に後ろに下がってしまった時に店主はあたしたちを呼び止めた。


「……帰らんとって。すまんすまん、もうこれは流行ってないか。ありゃりゃ」

「それで、ここの謎は?」

「ここはな~、フルーツ飴を並べる謎や。この屋台にはリンゴ、パイナップル、ブドウの三種類のフルーツ飴が売っておってな、それをこの四列二行の棚に八個綺麗に並べて欲しいんじゃ。数は均等とは限らんからな~。どうじゃ?挑戦するか?」

「もちろん!」

「それじゃあ、挑戦料300縁貰おうか」


お兄ちゃんが屋台の人に縁を渡し、早速謎解きにあたしたちは取り組み始めた。


「並べるってどんな風でもいいのかな?」

「それじゃあ謎解きにならないからそんな訳はないだろうけど……」

「何の順番何だろう」


あたしは考えながらもう一度、並べる台を眺めているとフルーツ飴を指す穴の所にそれぞれ何か模様のようなものが描かれていることに気が付いた。


「お兄ちゃん、お姉ちゃん!何か穴の近くに模様があるよ!」

「ほんとだ」

「これがヒントなのかな」


一一二三

三一二一


「1123、3121?」

「何かの数字?」


ここにきて煮詰まってしまった。

フルーツ飴屋にたどり着いてからもうそろそろ5分ほどが経とうとしていた。

そんな俺たちに痺れを切らしたのかフルーツ飴屋の店長さんが口を挟んできた。


「分からんのか?しょうがないな~。ヒントをあげちゃる。ヒントは店の中のこだわりのレイアウトと縁日の会場や。よう見て回ってみ~」

「レイアウトと会場?」

「ああそや、フルーツ飴はこのおいしそうな色が重要やと思ってんねん、オレは」


そのヒントにあたしたちはもう一度考え直す。

レイアウトはたぶん穴に対応した模様の事だろうけど、縁日の会場が分からない。

色が重要?


「フルーツの色は、赤と黄と紫」

「赤色、黄色、紫色」

「どっかでこの並び見たような気がするな~」


そんな風にお兄ちゃんは謎が解けたのかあたしに目くばせをしながら言ってくる。


「どこだったかな~」


お兄ちゃんはあたしの手元を見て言ってくるのであたしは自分がてに何を持っているのかをもう一度確認してみる。

右手にはヨーヨーとその時貰ったお菓子。

左手には福引券……。


『なんだろうね。福引もあるけど、なんか変だね。一等が金、外れが白は分かるけど、二等三等が赤に紫って』


「福引だ!」

「福引?」

「お姉ちゃんいってたじゃん。『福引もあるけど、なんか変だね。一等が金、外れが白は分かるけど、二等三等が赤に紫って』って」

「咲音ちゃん正解!フルーツ飴の色と福引き所の3色の色が関連していて、フルーツ飴台に付けてある模様の本数に合わせて色をそろえると多分謎が解けると思うよ」

「なるほど!」


お姉ちゃんもお兄ちゃんの説明で納得したのか、みんなで屋台にフルーツ飴を並べていく。


「パイナップル、パイナップル、リンゴ、ブドウ」

「ブドウ、パイナップル、リンゴ、パイナップル!」

「おっ、全部並べ終わったんやな。どれどれ……、おお!全部あっとるやん!おめっとさん。それじゃあ、一人1つ好きなフルーツ飴持っていきな!それと、これ福引券ね~」


あたしとお姉ちゃんはリンゴ飴、お兄ちゃんはブドウ飴を選んだ。


「次は射的やに行くといいよ」


そう言われ射的やに向かう。

射的屋ではお兄ちゃんの300縁を支払い、射的技術と閃きによりあっという間に謎を解決してしまった。

店員さんもびっくりしていたが、お兄ちゃんは当然だろという顔であたしと、お姉ちゃんに景品のおもちゃを渡してくれた。


思いのほか早く3つの謎を解いてしまったのか他の人との足並みをそろえるために、福引をする前に店員さんに止められてしまい少し待ち時間が出来てしまった。


「やったねお兄ちゃん!」

「そうだね!咲音ちゃんもよく出来てたよ!」

「私は全然だめだ」

「そんなことないよ。それよりも、これで最後の謎ってことだろうけど入場の時にもらった縁まだ100縁分残ってるんだよね。どこで使うんだろう」

「万が一のためなんじゃない?」

「そうなのかな~」


お兄ちゃんがそんな小さな疑問を浮かべたが私は、福引の隣にある賽銭箱が気になっていた。


「お姉ちゃん、お兄ちゃん。お願い事しよ!」


あたしの提案にいい暇つぶしだと思ったのか乗ってくれるお姉ちゃんたち。


「せっかくだしこの100縁、賽銭として入れとくか」

「そうだね。使わないのももったいないし」

「咲音が入れたい!」


そう言ってお兄ちゃんから100縁を受け取ると、ポイと賽銭箱に投げ入れた。

段ボールとコインがぶつかる音がした後、あたしたちはそろって2礼2拍手1礼をして、お願い事をしたのだった。


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