第41話 文化祭①-3 前夜祭
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短めです
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太陽の光というのは何でこんなにも暖かくて優しいのだろうか。
人間は太陽の下で生きる生命体だと再認識出来る。
無事お化け屋敷から抜け出した達成感も相まって最早太陽様が顔を見せてくれるだけで安心する。
中庭に戻って来た俺達はそこら辺に設置されてあるベンチに適当に座って日光浴を楽しむ。
それにしてもお化け屋敷無理だわ。めっちゃ怖いわ。いや、分かってるよ?作り物って。でもさ、いきなり血塗れの奴とか、首伸びる奴とか、追いかけてくる奴とか、マジで無理、もう無理、今日寝れない。
「大丈夫?」
隣に座る陽菜が優しくこちらに声をかける。
「怖かった?」
「うん」
俺の頷きにシオリが「あ、素直になった」と笑いながら言われる。
もうプライドとかそんな物どっかにいった。もう今は恐怖心しかない。
「ごめんごめん。私が行こうって言ったから無理して付いて来てくれたんだよね。ごめんね」
「笑い事じゃ……ない」
「あはは。ごめんごめん」
そう言って陽菜は俺の手に手を重ねてくれた。
その後、グランドの簡易ステージで行われた漫才や、体育館で行われていたバンド演奏等を見て過ごすと時間はあっという間に過ぎて、お互い自分達の出し物へ向かう時間になってしまった。
クラスの出し物へ戻ると売り上げは意外にもあるみたいで、こういう系がイカに強いのか実感する。
そして、文化祭一日目が終了した。
本日はこれにてお疲れ様で明日の本番頑張りましょう。といことで、俺達は体育館へ集まった。
今からここで行われるのは前夜祭みたいなもので、文化祭が始まっているのに前夜祭ってどうなん? と思うが、あくまでも明日が本番というスタンスらしい。
参加は自由で、今から行われるのは文化部の出し物だ。
裁縫部、軽音部、吹奏楽部、演劇部、ダンス部が出場するらしい。
参加は自由で、別に途中で帰っても良いのだが、折角のお祭りなので俺達は参加することにした。
そんな俺と同じような意見が多いのか、体育館には沢山の人で溢れている。
裁縫部によるファッションショーが始まった。
観客席にはクラスメイトや保護者たちが集まり、ステージに注目している。
ライトが落ち、華やかな音楽が流れ始めると、ショーの幕が開いた。
最初にステージに登場したのは、予想とは違い男子生徒だった。
彼は、まるでモデルのように姿勢よく歩き出し、シックなブラックスーツを身にまとっている。裁縫部が手掛けたスーツは、ウエストラインを強調するデザインで、細部までこだわりが感じられた。
「すごい!めっちゃ似合ってる!」
「清水君、カッコいい!」
彼の動きに合わせてスーツがしなやかに揺れ、会場からは感嘆の声が上がる。彼は最後にステージ中央でポーズを決め、観客に向かって軽く笑顔を見せた。
「そういえば陽菜、明日咲音ちゃんは来るの?」
俺の問いに陽菜はこちらを向いて間をあけた後にコクリと頷いた。
「文化祭があるって伝えたら行きたいって。ヒカルンお兄ちゃんにも会いたいんだってさ」
「そっか」
「それにどーせダメって言っても体育祭の時みたいに一人で来るとか無茶しそうだから、それなら断る意味ないなって思ってね」
「なんかすいませんね」
すこし俺のことを睨んできていたのでなんとなく謝っておいた。
「じゃあきっと、俺達の事なんてほったらかしで咲音ちゃんは遊び回るんだろうね」
「それじゃあ明日も俺達は悔いなく遊び回ろうぜ」
笑って言ってやると陽菜が拳を作り言い放つ。
「暴れ足りない」
「今日存分に暴れていた気がするけど?」
「これじゃハジケリスト失格」
「ハジケリストって何?」
「明日タタミかけるよ! コジロー!」
そう言って拳を俺に突きつけてくるので、拳を合わせて「ウェーイ」と明日も楽しむ事を誓った。
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