第26話 プール② 終わり

浮き輪に乗って水に揺られながら、咲音ちゃんはまた別のプールに目を輝かせていた。


「次はあっち!あの波が出るプール行きたい!」


そんな鶴の一声ならぬ、咲音ちゃんの一声で俺たちは移動していく。

波プールでは、定期的に大きな波が立ち、俺たちはその波に揺られながら笑い声をあげて楽しんだ。

咲音ちゃんは波に飛び込むようにして遊び、陽菜は波に少し驚きながらも、俺たちと一緒に楽しんでいた。


昼過ぎになり、さすがにお腹も空いてきた俺たちは、一度休憩して軽く昼食を取ることにした。プールサイドにある軽食コーナーで、ホットドッグやかき氷などを注文し、陽菜と咲音ちゃんと一緒にテーブルに座った。


「ふぅ、やっぱり水の中にいるとお腹空くよな」

「ほんと。朝からずっと動いてるからね」

「咲音ちゃん、かき氷が顔中についてるぞ」

「え?どこどこ?」


咲音ちゃんは慌てて顔をぬぐい、俺と陽菜はその姿にまた笑ってしまった。

こうして一緒に過ごす時間は本当に楽しく、心がほっとする。

陽菜と咲音ちゃんと一緒にプールを楽しんでいた午前とは違い、太陽が高く照りつける中で、陽菜と俺はプールサイドに腰を下ろして休憩していた。咲音ちゃんは、まだ元気が有り余っているのかプールの中で元気に泳いでいた。


「ふぅ、やっぱりプールって楽しいね」


陽菜がリラックスしながら言うと、俺は頷きながら「うん、ほんとに」と答えた。

陽菜は水を飲んだり、日焼け止めを塗り直したりして、プールサイドでゆっくりと過ごしていた。


「もうちょっとしたら、また泳ごうか」

「うん、もう少しだけここでのんびりしようかな」


そう言いながら陽菜はプールサイドを歩こうと立ち上がり、数歩進んだところで突然、足元が滑ってしまった。


「わっ!」


陽菜が驚いた声を上げ、バランスを崩しながらも転びそうになる。

その瞬間、俺は反射的に手を伸ばして陽菜の肩を掴み、彼女の体を支えた。


「陽菜、大丈夫?」


俺が心配そうに声をかけると、陽菜は驚きのあまり目を大きく見開いていたが、俺の支えでなんとか転倒を防ぐことができた。彼女の体が俺に寄りかかり、いつもとは違う近くで感じる温もりと柔らかさに、俺の心臓がドキドキと高鳴った。

しばらくその体制で近づいた顔のまま見つめ合う。


「ごめんなさい、びっくりしちゃって……」


陽菜が少し赤くなりながら、慌てて体勢を整えようとしたが、まだ少し不安定な様子だった。

俺は陽菜を優しく支えたまま、「大丈夫だよ、気をつけてね」と微笑んで言った。


「……ありがとう、輝……」


陽菜はそう言って、ふと目を合わせると、彼女の顔が赤らんでいた。

が、指摘しようにも恐らく俺もそうなのでいじるのは辞めた。


「……ちょっとここで休んでからまた泳ごうか」

「……うん、そうしよう」


俺は陽菜が落ち着くまで、しばらくプールサイドで座って休憩することにした。

陽菜は俺の隣に座り、少し照れくさい笑顔を浮かべていた。

その姿に、俺の胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。


それから二人で他愛もない会話をしながら、陽菜と過ごす時間がどんどん心地よくなっていくのを感じた。

咲音ちゃんが水から上がってくるのを見守りながら、俺たちはそのまま穏やかなひとときを楽しんだ。


俺たちは再びプールに戻り、今度は三人で波のプールや遊具のあるエリアを巡った。

そして最後に、もう一度ウォータースライダーに挑戦することになった。


「今度も咲音が一番前に乗る!」


咲音ちゃんは自信満々に宣言し、再び前を陣取る。

陽菜は今度は少しリラックスした様子で、俺の前に座っていた。


「さっきよりは慣れたかも」

「じゃあ、また俺にしがみつかなくても大丈夫かな?」

「そ、それは…!」


俺が冗談交じりにからかうと、陽菜は顔を赤くして「もう、からかわないでよ!」と言いながら俺の肩を軽く叩いてきた。

そして、再びウォータースライダーのスリルを味わいながら、俺たちは無事に滑り終えた。

最後には三人ともすっかりリラックスし、楽しい一日を締めくくることができた。


帰りのバスの中、咲音ちゃんは疲れ果てて俺の肩に寄りかかって眠り始めていた。

陽菜も少し疲れたのか、静かに隣で目を閉じていた。


「今日は楽しかったな」


こうして、俺たちの夏のプールの一日は、楽しい思い出と共に静かに幕を下ろした。

陽菜との距離も少しずつ縮まり、咲音ちゃんともますます仲良くなれた気がするが、そろそろ俺も決心しないとなと左右の綺麗な二人の寝顔を見て思うのだった。



――――――――――



この度は数ある作品の中から


「迷子の妹を送り届けた着ぐるみの中の人が俺だと気づいたクラスのマドンナがぐいぐいやって来る」


を読んでいただきありがとうございます!!!!

ついに★が1000を超えました!!

引き続き頑張っていきますので、続きが読みたい!など思った方はぜひ、★や、♥などを付けてくれると嬉しいです。


今後こうなって欲しい、かわいいなどコメントを残してくれると嬉しいです。


みっちゃんでした( ´艸`)

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