かばん

大盛況に終わった興業の、解体される舞台を前に、先ほどの盛り上がりの薄れゆく熱気の余韻の中を、裏を忙しく走り響く足音の数の、拍子が掴めたならば、通りすがった風圧に終焉を感じた談笑は、立ち込めた空気はしめやかに、それにならってしめやかに、てんてんとその場を去っていく。

無音になったどっしりと深くに座り込んだ背中は、ひとつもわずかも動くことなく、落ち着いた呼吸には肩を揺らすこともない。

無の時間に満足いったか、いかないか、どちらともいえない空気を断ち切るかばんを閉める音は、その人間のどうこうなど関係もなく、締まりいく摂理であることを、無音の中に終焉の拍子を響き渡らせていく。

お疲れ様、また明日。

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