ひょうたん
ゆりかごに揺られ、
視界に映る影の隙間から
ちらりと覗かせる大きな
青い空に何を思い何を感じたのか。
確かに見たのであろうが、
記憶には残っていない。
その大きさを感じたのは
小さな背をあおりにして
見上げる小さな体の構図が眼に見えるに、
うっすらとその記憶が残っているのだろう。
広げた手のひらが影になって
真っ黒になった指の隙間から
まばゆい光に目をぐっと瞑り、
指越しに見える空は
手に届かない距離にあるのだ、という
記憶の欠片は置き去りに
目まぐるしく過ぎていく時の渦の中を
どこかに向かって飛んできた現在に、
少し折れ曲がるも立とうとする私は、
改めて空に手をかざしてみるも、
やっぱり届くものではなくて、
やっぱり遠いものだと思うもので、
だがしかし、近くなってきているのだ、と
感じるのだ。
ふいに思い出される記憶。
その記憶のあれもこれも、
その時の自分には大きな衝撃であっただろう。
私の頬をかすめ通り過ぎていく
質量を持った何かの中に過去の自分が
必死にもがき、必死に生きている。
そんな姿にくすっとしてしまい、
愛おしくも思う。
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