水谷と鼻村

   一、「おならマシーンの完成だ!」


「ついに完成したんだね」鼻村の妹の桜がいった。この機械の第一の被験者だ。

 桜はカプセルに入った。

「ボタン押すぞ」

「うん」透き通った声がこたえた。

 黄色い空気に桜は包まれた。


 数分後、黄色い空気から放たれた時、桜は眠っていた。「うっ、傷ついてるやんか……」「シートベルトは必須だな」「傷害罪になるんじゃないか」「どこにかくす?」


     *


 海猫サラは桜の友達だ。「鼻村さんとこ、いない」

「正義感あふれる性格」といわれるサラだ。桜がいないのは大事件である。

 地道な聞き込みとわかったことをまとめると以下のようになった。


 菊池荘一 三十五歳「桜さんはA公園から北にいった。十五時だった」

 川本サンペイ 十八歳「桜さんはC山から南のA公園のあたりにいったよ。十五時くらいだったと思う」

 水谷恭平 二十九歳 「桜さんは山に行った。十九時だった」


    *


 わかったことを記そうとして、サラはてをとめた。

「おかしい、矛盾している……」

 でも、とサラは続けた。

「私、わかっちゃったかもしれない!」


 サラの推理は以下の通りだ。


 菊池荘一の目撃はあっていた。川本サンペイの目撃はその次の日だったのだ。犯人はまごついて、結果C山に埋めたにちがいない。人気の少ない夜に行うのが最適だろう。よって容疑者は水谷である」

 サラがとうと、水谷はあっさり罪を吐いた。

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沼津平成第一ミステリ短編集 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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