第18話 次は家!?
まさかの急展開だった。
子ども生まれるし、あの辺りに一戸建てを買えたら良いねとは言っていたけれど、まさかお義父さんが土地を買ってくれるなんて。
「何か、遺産相続絡みで早く売りたかったみたいで、相場よりも安く買えたみたい。」
「そうなの?」
「うん。ああいった時って、ご近所さんを不動産屋さんがチラシ持って回るんだね。親が子ども夫婦に家を買うケースもあるから、早く売りたい時にはそうするんだって。」
「それって大丈夫なの?」
「大丈夫って?」
「不動産の訪問販売って怖くない?」
「ああ、それは大丈夫だよ。誰もが知ってる大手の不動産屋さんみたいだし、契約もその支店に行ってやったみたいだから。」
「そうなんだ。っていうか、もう契約も終わってるの!?」
「うん。名義はお父さんでやったって。贈与税とか固定資産税がかからないようにしてくれたんだって。」
「そ、そうなんだ。」
それはそれで頭が上がらないなぁ。
「ああ、それは土地の贈与によくあるパターンだな。」
予定変更のために、隆人兄ちゃんに電話をすることになった。
「隆人兄ちゃん、そんなことまで詳しいの?」
「税理士じゃないからあまり適当なことは言えないけど、相続時精算課税制度を使うんじゃないかな。」
「相続時精算課税制度?」
「そのまま贈与されたら税金がめちゃくちゃかかる。例えば、2000万円の土地なら700万円の税金がかかったりといった感じで。」
「700万円!?」
「それが査定価格で2500万円以下の土地なら、相続時精算課税制度を使うことで贈与税は0になるらしい。」
「0!?」
「60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子や孫に財産を贈与した場合、2500万円までは非課税にする制度だな。もちろん、相続が発生した時には課税されるんだけど、相続時は3600万円の基礎控除があるから問題なしって感じになる。」
「そんな制度があるんだ。でも、60歳以上って。」
「お義父さんが60歳になったら贈与するつもりじゃないか?もちろん遥香ちゃんに。」
「う、あ、そういうこと。」
「たぶんな。これで光太郎に対する縛りにもなるから、いい判断だと思うよ。」
「え、縛りって何?」
「あちらのご両親にそんな意図があるかはわからないけどな。仮に光太郎が浮気でもして離婚になったとしても、遥香ちゃんと子どもたちは住むところをなくさないってことだ。」
「ええ、マジでー。俺って、そんなに信用ないの!?」
「まあ、半分は冗談だけどな。不貞をやらかしたらそういうことになるって話だ。」
いやいや、笑いごとじゃないよ。
「うう~、わかった。あ、そんな理由で次の約束が延期になっちゃってごめんね。土地を一緒に見に行かないといけなくなってしまったから。」
「いや、かまわないさ。また都合があいたら連絡をくれたらいい。」
「うん、ありがとう。」
こうして、妊娠と車の売却、そして家の購入まで急ピッチに進むことになってしまったのである。
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