第12話 車購入の基本はリセールバリュー②
「以前にベンツやBMWのリセールバリューは良いから、お金持ちはみんなそれを買っているって記事があったなぁ。」
ウェブの記事でそういうのがあったから、金持ちは見栄だけで高級輸入車に乗っているんじゃないんだって思ったことがある。確か、あれもFPが書いた記事だった。
「ベンツやBMWねぇ。まあ、あながち間違いではないけど。」
「ん?何か引っかかるの?」
「車のリセールバリューというのは、一般的に新車登録から3年後の残価率─簡単にいえば、買取額が60%を超えるものが良いとされている。ベンツやBMWも新車から3年以内で売るなら、一部の車種はその基準に達することも可能だろう。」
「じゃあ、やっぱりそれが理由でお金持ちは買うんだね?」
「どうだろうな。俺はベンツやBMWは、国産車とは異なる魅力があるからだと思う。」
「そうなの?」
「まず、輸入車は国産車に比べると壊れやすい。これは日本の湿気の多さが原因の一つらしいが、そうなると3年はともかく5年も経過すれば故障のひとつやふたつは起こりやすくなる。結果として、5年後のリセールバリューでは、人気モデルでもほとんどの車種が50%を下回ってしまうんだ。」
「5年で半分か。新車で1000万円すると考えれば大きな額だね。」
「それに加えて、維持費の差はそれなりにある。昔に比べると下がったとはいえ、ドイツ車なんかはフロントブレーキの減りが早いし、ガソリンもほぼハイオク仕様だ。メンテナンスも燃費も国産車よりも高い。」
「そういえば、輸入車って小さな車でもハイオク仕様だよね?」
「ヨーロッパ車はそうだな。欧州ではレギュラーガソリンのオクタン価が95以上と定められている。日本ではレギュラーが89以上、ハイオクが95以上という規格だからハイオクを入れるしかないんだ。アメ車なんかだと、スポーツモデル以外はほぼ日本のレギュラーガソリンで大丈夫だからな。」
「ほえ~、そんな違いがあるんだ。」
「話を戻すが、ベンツやBMWは新車で買って3年以内に乗り換えるなら、車両本体に関してはリセールバリューは悪くない。ただ、ランニングコストはかさむ。見栄や趣味で買うならいい車だが、節約したい人には不向きだ。」
「はは。まあ、そうだよね。」
「光太郎や俺が乗っている車はレギュラーガソリン仕様で燃費も良く、故障もほとんどない。さらに新車登録から3年後のリセールバリューはかなりいい。残価率でいえば70%前後ともいわれている。だったら、どちらがいいかは明白だろう。付け加えれば、ボディカラーは白系か黒系なら大きく金額がブレることもない。」
「なるほど。そう考えれば良い買い物をしたんだね。」
「因みに、一番リセールバリューで安定しているのは軽自動車のトールタイプで、販売ランキングも何年連続一位となっているアレだ。」
「ああ、アレね。街中でもよく見るよ。」
「アレ、かわいいよね。」
お、意外に遥香はああいった箱型の車が好きなんだ。
「後部はスライドドアだし、室内の天井高も余裕があるからチャイルドシートも使いやすい。」
「隆人兄ちゃん。俺の車を売って、アレに乗り換えるのってコスパ的にどうかな?」
遥香が好きそうなら、買い替えも視野に入れていこう。今後のことを考えると維持費も実用性もそっちの方が良さそうだしね。
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