戦士オリビアの憂鬱 ~勇者のいない世界で『お前が魔王を倒してこい』と師匠に家を追い出されたので、世界を救う〈英雄〉になってみせます!~
夜月 透
第0話 若き戦士の冒険譚
「人間ごときが、……舐めた真似をッ……!」
「貴方だけは、絶対に許さないッ……!!」
ㅤおどろおどろしい、魔空間の中。
ㅤ強大な敵〈 魔王 〉を目の前にしても、オリビアの心は決して折れる事はない。
ㅤ双剣の柄を握り直した彼女が、魔王と距離を取りながら勢い良く駆け出すと、バチバチと音を立てて閃光する黒い光を彼女に向けて、魔王は容赦なく
放った。
──ドゴォンッ!!ㅤ──ドゴォンッ!!
ㅤその電撃のような球状の光が、魔空間の地面にぶつかる度に、激しい音を立てて崩れて爆発した。
ㅤ「くッ……!!」
ㅤ物凄い速さで飛んでくる魔光の攻撃をギリギリの所で身を
ㅤ低姿勢で走り抜け、方向転換した彼女は今度は魔王に向かって真っ直ぐと駆け出す……!!
「馬鹿がッ……!!ㅤそんなに死にたいなら、望み通り死なせてやろうッ……!!ㅤ」
ㅤ真っ直ぐ駆けて来るオリビアを狙って、魔王は不敵に笑いながら黒い魔光をまた作り出した。
ㅤその魔光が放たれる、直前。
ㅤ魔王の右方向、遠くから放たれた白い光の矢が猛スピードで飛んできて、魔王の肩や腕に突き刺さる。
ㅤ魔族の嫌いな〈 聖魔法 〉は、相手が強大な敵だとしても、威力抜群である。
ㅤ
ㅤ矢の飛んできた方向に魔王が鋭い視線を向けると、そこには頭から血を流す人間の男が何も持たずに地面に膝をついて、魔王に照準を合わせた所作をしていた。
ㅤ弓も持たず、矢も持ってない男が空中で弓を引く所作をとると、そこには白い光が集まり、矢の様な形状となった。
「お前ぇぇぇえええーーッ!!私の邪魔ばかりしおってーーッ……!!」
ㅤ激昂する魔王の目の前まで迫っていたオリビアは、力いっぱい剣を振り上げる。
「はぁああああーッ!!!」
ㅤ若き戦士の咆哮が響き渡った。
──貴方の時代は、これで終わりだッ……!!
▶▶▶
ㅤ仲間たちと出会い、強く成長しながら進む。
ㅤ時に助け合い、時にふざけ合い( ? )絆を深めながら繋いでいく……人との縁。
ㅤ魔王を倒し──英雄になるまでの冒険譚。
ㅤ今、ここに開幕!
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