第2話:天使の恩返し?
ある日のこと、それはもうすっげえ可愛い女の子が僕のアパーを突然訪ねて来た。
なにか勧誘とかじゃないかぎり女の子が僕んちに尋ねて来ることなんてない・・・
まじでその子は可愛いかったんだ・・・女の子を街でナンパもした覚えもないし、
どこかで知り合った覚えもない・・・なにかの間違いに違いない。
その子は金髪のショートカットにパンダの柄の白いワンピースを着ていた。
「はい、なんでしょう?」
「なにかの宗教法人の勧誘ならお断りですけど・・・」
「そんなんじゃない」
「あのね、ちょとだけ聞くけど・・・おニイさんパンツ拾わなかたか?」
「え?パンツ?・・・・」
知らないって誤魔化そうと思ったんだ・・・そしたら・・
「私、見てた・・・おニイさんが私のパンツ持て帰るところ」
「え?見てたの?・・・ああ・・・あのね、持っ帰るつもりはなかったんだよ」
「警察に届けようと思って・・・」
「いいだわ、そんなこと」
「いいだわって・・・」
この子。ちょっと日本語おかしくないか?
「あのさ・・・見てたって?・・・君、どこにいたの?」
「天界から・・・天界にある見たいもの見せてくれる鏡で見てた」
「え?・・・天界?・・・鏡?・・・って何?」
「私、天使」
「天使?・・・まじで?」
「あ、なんだかすぐにお引き取り願えそうな話じゃなさそうだから、
よかったら部屋に上がります?」
で、その子に部屋に上がってもらった。
「あ、私のパンツ」
ハンガーに綺麗に飾っておいたパンツを、その子に見つかってしまった。
「大切にお預かりしてます、パンツ」
なんでも、その子・・・天使が言うには庭に干してあったパンツが風に
煽られてどこかに飛んで行ったらしい。
で、パンツのありかを探そうと鏡で見たら、僕がパンツを持って帰るシーン
が映ってたんだって。
一種の防犯カメラみたいなやつなんだ。
で、問題はここからなんだな。
普通ならその天使に、ごめんなさいってパンツを返しておしまいってところ
なんだけど・・・そうはいかなくなった。
天使は自分の持ち物を誰かが保護してくれた時点で、保護してくれた人に
ご奉仕しなくちゃいけないんだって・・・無理くり的なご都合主義な話。
まあ、恩返しみたいなもんかな?
「ご奉仕って?・・・つまり?」
「私、天使の「リュカ」・・・今日からここにお世話になるだわ」
「そう言うことなのでバンちゃん・・・よろしくね」
「バンちゃん?・・・よろしくねって?」
「うそ〜・・・お世話になるって?・・・どういう意味かな、それ?」
「つうか初対面でなんで僕の名前知ってんの?」
「パンツ拾ったやつのことは全部調べたよ、名前も」
「私、天界に帰らないつもりで来てるから・・・」
そんなこんなで天使のリュカちゃんは僕のアパートで僕のために、ご飯を作って
掃除して洗濯して甲斐甲斐しくお世話をしてくれるようになった。
降って来たパンツからの降って湧いたような天使からのご奉仕。
たかがパンツ、されどパンツ・・・落ちてきたパンツをただ持って帰った
だけなのに天使からの思わぬご奉仕なんてしてもらっていいのか?。
そんな贅沢に甘んじて・・・。
リュカちゃんからしてみれば大切にしてる愛用のパンツを拾ってくれた僕に恩を
感じてるんだろう?
なんて律儀な天使。
パンツをよくベンチの置いて帰らないでよかったと自分を褒めてやりたい。
つづく。
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