くもりぞらよりも残酷で

釣ール

あつまる意味

 くもがあつまることで『いかずち』と『あめ』は産まれる。



 または『ゆき』や『ひょう』も。



 人のあつまりは酸性さんせいの雨と変わらないのかもしれない。



 人は雲になることはできない。

 無力な自分を強く見せるために群れをつくる。



 そのあつまりの温度はいつも40℃をよんじゅうどえない。

 さがるのは人にしか分からない空気だけ。




 あらそいがおきても水をだすことも静電気せいでんきすらまぐれ。




 電車か新幹線と飛行機に乗れば何も起こさなくていい群れが出来る。




 まだ乗り物にたよるか。

 そこで起きる小さな天候てんこうは無実な罪と明かされない罪ばかり続く。




 誰かは上から目線でそこで起きた小さな天候をアリのあつまりとたとえた。



 何様のつもりだ。

 自分の家庭だけで精一杯のくせに。

 その人間の教養きょうようのなさにあきれてからずっと勉強ばかりしている。




 そこで自分も雲にすらなれず天候を動かせない人だと知る。




 だとしてもあの無教養むきょうよう自称父親じしょうちちおやくずれにたとえられる筋合いはない。



 ただ自分もその感情で何もうみだせなかった。



 にぎりこぶしをおさえたままかわかぬ汗は堤防ていぼうどころか生えた木すら流せない洪水こうずいとしてそのまま蒸発じょうはつする。



 だからもう人間であることを否定しないようにしてほしい。



 指図さしずもされるほど自分自身も誰もできてはいない。



 こうして無力な天候てんこうは風呂場でなみだとしてながれおちる。



 誰もそれをなみだとは思わない。

 それだけが孤独こどくの中でれにつながる生き甲斐がいだ。


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くもりぞらよりも残酷で 釣ール @pixixy1O

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