第4話
夕食について、僕は夏海と話し合い、結局は僕の好みの店に行くことに決定した。
僕達が2人で食事に行くとき、多くは夏海の好みの店に行くことが多いのだけど、今日は何故か夏海が僕に気遣って優しくしてくれる。
夏海はいつも嬉しいことや自分に余裕があるときは、同い年なのに、お姉さん振って僕に優しくすることが多い。
今回、僕に優しいのは、仕事が早く終わって、明日もちゃんと休めるって分かったからだろうけど。
結局、僕は夏海の好きなピザ(おしゃれな人はピッツァとかいうんだろうけど)を出すイタリアンレストランを食べに行こうと言うと、
夏海は、
「えっ!ピザかぁ。今日、食べたしなぁ。さっきは翔太の行きたい店って言ったけど、他に行きたい店はないかな?」
と言ってきた。
僕は夏海の言葉に不思議に思い、あまり感がずについ疑問を口に出してしまう。
「えっ?お昼にピザを食べたの?さっきまで職場にいたんだよね?職場の何人かで頼んだの?」
公務員の僕の職場では、例え休日出勤したとしても、周りの人にデリバリーピザを頼む人はいなかったので、つい夏海に聞いてしまった。
すると、夏海は何故か少し焦ったような口調で、
「えっと、そ・・、そうね。ほら、仕事が思ったよりも早く終わったから、先輩が奢るって言ってくれてさ・・・、デリバリーピザを頼んだのよね。」
僕の疑問に夏海が応えたので、
「そうなんだ。やっぱりおしゃれな職場は違うよね。」
夏海はニシシと笑いながら、
「うちの職場は重要な案件を片付けたり、イベント打ち上げなんかでは、デリバリーで色々頼んだりするからね。ごめんね。でも、翔太がどうしてもピザ食べたいなら行くからね。」
僕は横に首をふり、
「夏海が食べたくないなら大丈夫だよ。どこか別の店に行こうよ。」
僕が笑顔を浮かべると、夏海は嬉しそうに、
「じゃあ、ステーキにしよ!今日はいっぱい動いたから、肉が食べたいよ!」
僕は公務員でデスクワークが中心だから、夏海の職場である広報部はよく身体を動かすのだろう。
僕は頼んだコーヒーを飲みながら、時計を確認すると、夕食には少しだけ早い時間帯だけど、夏海と話しながら店まで歩けばちょうど良い時間になるかなと思い、夏海にコーヒーショップを出ることを促す。
く
「じゃあ、ちょっと早いけど、土曜日の夕方で混むかもしれないから早めに行こうか?ほら、夏海がこの前、行きたいって言っていた、あの、ステーキ店にでも行こうよ。」
僕が促すと、また夏海は、少し躊躇しつつ立ち上がる。
「う・・うん。そうね!あのステーキ店、前から行きたいと思っていたのよね。」
僕は夏海と一緒にコーヒーショップを出て話しながら、夏海が行きたいと言っていたステーキ店に向かって歩いていく。
僕達は、ステーキ店に着くと、夏海のために扉を開けて、先に中に入ってもらう。
「あぁ、翔太。そこ、躓きやすいから気をつけてね。」
夏海は僕のことを気遣い、よく助けてくれる。
初めて入った店でも、注意深く観察していて転びやすそうなポイントを教えてくれるのだ。
もう僕は子どもじゃないんだけどな。
僕達は席について、僕は夏海にテーブルにあるメニューを渡す。
夏海はメニューを開いて、
「これこれ!これが美味しいのよね!」
夏海がメニューを指して僕に教えてくれたのは、昔、この店の裏メニューだったものがあまりの人気さ故に表メニュー(この言い方が正しいか分からないけど)になったものらしい。
僕らはこの店には入ったことがないけど、夏海は下調べをしてきたのか、やたらと詳しく僕は夏海の饒舌さに驚くぐらいだった。
夏海の下調べのおかげで、僕達は美味しい料理を食べることができて楽しい一時を過ごすことができたのだ。
僕は夏海にはいつも感謝している。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます