2学期

第28話 プレイヤーネーム 「ムササビ」

 今日は始業式……そう、夏休みは終わってしまったのである……


みんな教室にて、夏休みが終わったことの落胆の声をあげていた。


 そして、始業式にて、校長先生からのありがたいお話などいろいろ聞いた後、教室に戻らたまに僕は大翔と廊下を歩いていた。


「夏休み後1ヶ月ぐらい欲しかったよな〜日影!」

「そうだね、なんだか物足りない気がするよ」


「どうしたのよ! 影密くん! そんなにしかめっ面しちゃって!!」

「朝比奈さん……」


 僕の背中を優しく叩いてきたのは、僕とは対照的にテンションが高い朝比奈さんだった。


「いや、夏休みが終わってしまったなって思って」

「確かにそれは悲しいよね! でも私は嬉しいこともあるよ!!」


「え? 嬉しいこと?」

「うん! だって影密くんと毎日会えるじゃん!」

「……僕の毎日会えてそんなに嬉しいの?」

「うん! とっても嬉しい〜!!」


「……ったく! お前ら新学期の朝っぱらからいちゃいちゃしやがって!!」

「い、イチャイチャしてないし!!」


 僕と朝比奈さんのやりとりが気に入ったのか、大翔がチャチャを入れてきた。

 それを聞いた朝比奈さんは大翔に対してあっかんべーをした。


 そして、教室に到着すると、喉が渇いたため、僕教室近くの自動販売機に足を運んだ。


「わわ!? ごめんなさい!!」


 僕が自動販売機に小銭を入れようとした時偶然にもほかの人もお金を入れようとして、偶然にも僕のて手とその人の手が触れた。


「いえ……周りを見てなかったこっちが悪いので……」


 やっぱりただの謝罪だとしても、知らない人と話すのは緊張するな……

 てか、この人、隣のクラスの美少女ギャルで有名な人じゃないのか!?

 僕のクラスで一時期話題になった気がする……


「あら? あなた自販機にお金いれないの?」

「え? いや、その……お先どうぞ……」

「ほんじゃあ、遠慮なく……」


 その人は自動販売機にお金を入れて、冷たいお茶を購入した。

 僕はそれを見届けてから、自動販売機にお金を入れた。


「ねえ、あなた……お名前なんていうの?」


「え? お名前? 僕の名前なんて聞いてどうするんですか?」


「はあ!? 別にいいじゃない名前ぐらい聞いたって! ああ、ワタシの名前は雅也朱莉むさやあかり! よろしくね!!」

「あ、はい……僕は影密日陰って言います……その、よろしくお願いいたします!!」


「影密くんね、よろしく……? 影密って言った? 今影密って言ったの?」

「え? はい、影密って言いました」


「それってさ、1組の朝比奈日向の男の大親友の影密くん??」


 へえ? 朝比奈日向の男の大親友? 僕と朝比奈さんは大親友なのか?


「え? 大親友って呼ぶのかわからないけど、朝比奈さんとはお友達だよ……ていうか、どうしてそれを?」


「ええとね! 一時期ワタシのクラスでも噂になったのよ! 学校一の美少女ととても仲のいい男の子がいるって……あの時は、朝比奈日向の義兄弟説や、朝比奈日向の幼馴染説……朝比奈日向の執事説などいろいろあったわよ!」


 執事説? 最後のはよくわからないけど……ちなみにその説は全部はずらてるけど……僕と朝比奈さんはただの友達だから


「アハハ……僕のこと噂になってるの?」

「それはそうよ! なんたって学校一の美少女の友達よ! それは噂になるでしょ!」


 朝比奈さんは思った以上にみんなに認知されてるようだった……


「てことは、影密! あなたは、ワタシと同級生の1年生ということね!」

「はい、ピカピカの1年生ですが……ていうか、なんでそんなに僕に食い気味なんですか?」


 目の前の女の子は僕に目をキラキラ輝かせてじーと見つめてくる。


「んーとね、あなたの口調がなんとなくワタシのネッ友に似てる気がして……」

「へえ〜ネッ友……」


「まあ、ネッ友と言っても、ライバルみたいなもんだけどね去年は熾烈な争いを繰り広げたもんよ〜〜!! でも今年はなんか物足りないって言うかあの人順位低かったのよね……順位もワタシと10位以上離れてたし!」


 へえ〜僕の口調がネッ友に似てるのか……

 熾烈な戦いを繰り広げたって、そういえば僕にもそんな人がいるな、「ムササビ」さんっていうプレイヤーネームのネッ友なんだけど、そういえば今年に入ってからそのフレンドとダンジョン攻略してないな


「あの、ちょっと一ついいかな?」

「ん? どうしたの?」

「その、ネッ友って100発100中ないと思うけど、プレイヤーネームマスターって名前じゃないよね?」


「え? あなたよくわかったはね! もしかしてエスパーかなんか!?」

「え、マスターってイエローダンジョンってゲームの?」


「うん! そうよ!!」

「はえ〜〜〜!?!?」


 は!? は? は?

 この学校やばすぎる……僕のネッ友が二人もいるなんて……

 僕は今日一番の大声を出した。


「びっくりした〜なによどうしたの?」


「いやいや、そのマスターっていうのは、僕です」


「は、はひ!?!? はええ〜〜!?!?」


 雅也さんはとびきりでかい声をあげた。


「え、じゃ……じゃじゃじゃあ……ワタシと去年熾烈な争うを繰り広げたワタシのライバルというのは、あ、あなた……?」


「そ、そうです……今の話が本当ならその相手は僕です……」


「な、なな……なんじゃこりゃ〜!?!?」


 僕は新学期早々、新しい出会い……もう一人のネッ友とリアルで出会うこととなった。

 

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