第20話 うん……素敵だよ……

 僕はイエローダンジョンの限定ダンジョンの攻略タイムを競う大会のランキングを見て、首を傾げてぶつぶつ言葉を漏らした。


「……うーん、僕の順位は15位か……やっぱり1位は難しいのかな? 今の1位は誰かな?」


 僕が今の1位を確認すると、1位は去年僕と白熱の戦いを演じた、ムササビさんが1位だった。

 

 ムササビさん……めちゃくちゃ強いな……


「僕ももう一回チャレンジして、記録更新を狙おうかな……」


 僕もムササビさんに負けていられないという気持ちでもう一回ダンジョンに挑戦しようとした時、朝比奈さんからOINEメッセージが来た。


(ひなた) やっほー! 影密くん! 元気?


(ひかげ) 元気って言えば元気だよ……


(ひなた) 急な相談で悪いんだけどさ、来週の月曜日って空いてる?

(ひかげ) 確か、その日は確か何にもないよ


(ひなた) おけおけ! それじゃあ、プール行きましょう!!


「プ、プール!?!?」


 僕はいきなりプールにいこうと誘われて部屋の中で叫ぶ。

 朝比奈さんとプール!? プールってことはその……朝比奈さんも水着になるってことだよね……


 なんか恥ずかしいな……それに、緊張するな……


(ひかげ) プールってどこの?


(ひなた) ここらへんで一番大きいプールよ! あとさ、京香と紗奈も来るって!!


(ひかげ) それって僕と朝比奈さんと花輪さんと千秋さんでプールに行くってこと?


(ひなた) うん!! そうだよ!!! あと緋村くんも誘おうと思ってて! せっかくならこの前の勉強会のメンバーで行きたいし!!


(ひかげ) わかった! 当日楽しみにしてるよ!



 そして、プールに行く当日……


 僕たちはプールに直接集合する予定だったのだが、僕と朝比奈さんだけ、最寄りの駅で集合することになった。


「影密くん〜こっちこっち!!」


「朝比奈さん? うわ! 全然気づかなかったよ」


 朝比奈さんは黒くてかっこいいサングラスをかけながらプール用の道具が入っているバックを持って、駅の前に堂々と立っていた。


 それから僕たちはプールに向かうために、電車に乗った。

 そして、しばらくすると電車はプールの最寄駅であり、僕たちが集合場所にしている松村駅に到着した。


 僕は交通系ICT「ICHIGO」を使って改札を抜けると目の前の開けた場所の中央にある噴水の周りにあるベンチに大翔たち3人が仲良く座っていた。


「なんだか久しぶりだな〜!! 日影ー! 朝比奈さん!!」


「……そうだね……2週間も会わないとお久しぶり感がすごいね……」


 僕は大翔とハイタッチを交わす。

 大翔の後ろに見えるでかい建物は、僕たちが今から遊びに行く、プールの入り口だ……

 さすがは夏休み……プールに行く人でごった返している……


「それじゃあ早速いこうぜ!!」


 プールに着くと僕たちはそれぞれ水着に着替えるために更衣室に足を運んだ。


「なあ、日影! お前朝比奈さんたちの中で誰の水着が一番気になる?」


「え? それは……えっと……」


 更衣室で水着に着替えている時、大翔が意地悪な笑みを浮かべている。

 一番気になるって言われても……みんな気になるっていうか……なんというか……


「やっぱりお前は朝比奈さんだよな?」


「ええ? まあ、そうだね……」


「朝比奈さんどんな水着来てくるんだろうな……意外にド派手な水着きてきたりしてな!!!」


「ド、ド……ド派手……確かに朝比奈さんならありえるかも……」


 僕は大翔一緒に着替え終わると、更衣室の外に出た。

 僕たちはレジャーシートに到着すると2人で一緒にそこに座った。

 そして、程なくして着替え終わった朝比奈さんたちがやってきた。


「ごめーん! 更衣室混んでて遅くなった〜! 大翔っち、日影っち待った?」

「いや、全然待ってないぞ! むしろ日影とゲームの話してて楽しかったわ!!」


 花輪さんは満面の笑顔で僕たち名前に姿を現した。

 塙さんは黒色のビキニを着用していて、その愛くるしい見た目から無邪気な女の子感が出ている。


 千秋さんはオレンジ色のワンピース水着を着用していて、美しいスレンダーな体型がこれでもかと引き立っていて、なんというか美しい……


「影密くん……」


 僕は花輪さんの方を見ていると、名前を呼ばれて後ろを振り返った。

 すると、そこには、水着を着た朝比奈さんがこちらを見ていた。


「あ、朝比奈さん……」


 朝比奈さんは緑色のビキニを着用していて、美しい体のラインがくっきりと現れていて、モデルを彷彿とさせる姿をしている。

 周りにいる人たちも朝比奈さんの凄まじいスタイルに呆気に取られるようだった。

 

 かくなる僕もその一人だ……


「……影密くん、こっち見過ぎだから……影密くんのエッチ……」


 僕は朝比奈さんの水着姿を見つめていると、朝比奈さんが恥じらう様子を見せる。


「……ごご、ごめん……その、朝比奈さんすごく似合ってて……その……」

「……私……この水着着るの初めてなんだ……変じゃないよね?」


「うん……素敵だよ……」

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