第17話 勉強会
あれから日にちが経ち……
今日からは学生の天敵である、期末テスト期間がやってきた。
「ついに始まっちまったな〜期末テスト期間」
「僕、昔からテスト期間になるとなぜかゲームをやりたくなっちゃうんだよ……」
「おお! それわかるぜ! なんなんだろうなテストの時のゲームの誘惑よ!!」
HRにて、先生からテスト期間の告知をされた後の放課後、僕は大翔とお喋りをしていた。
「松竹梅? この漢字はまつたけうめって読むの?」
「違うよ日向ー! この漢字はしょうちくばいって言うんだよ!!」
「しょうちくばい? なんだか難しいね……」
僕たちの後ろでは朝比奈さんが千秋さんに勉強を教えてもらっていた。
そんなとき彼女らのところに元気一杯の花輪さんがやってくる。
「ねえねえ!! 日向! 紗奈!! 今日これから一緒にランニングしない?」
「ええー!! 疲れるじゃん!!」
「日向別にいいじゃん!! この学校の周りをちょこちょこっと走るだけだよ!!」
「そのちょっこらが疲れるの!!」
「京香は本当に部活が好きっていうか、走るのが好きなんだな……わたしたちそんなに走りたいなんてとてもじゃないけど思わないよ……」
「ええー! なんでよ〜走るの楽しいじゃんあたち走るの大好き!!」
「ん? 日影……お前あいつらのこと気になる?」
「うえ? いや……みんな勉強頑張ってるなって……朝比奈さんも今熱心に勉強してる見たいだし……僕も頑張らないとなって……」
朝比奈さんはこの前の中間テストの時、僕がなんとか言って一緒に勉強をさせたけど、いまは自主的に勉強をしているな……
「おお!! 俺いいこと考えた! ちょっと俺についてこい!!」
「ええ? なにどうしたの? 大翔?」
大翔は突然僕の席から離れて教室の後ろの方に歩き出した。僕もついてこいと言われたので、大翔の後ろをついていく。
「ようお前らは勉強進んでるのか?」
大翔が歩いて行ったさきは、朝比奈さん達がいるところだった。
僕は大翔について行ったことにより、朝比奈さんのところに流れ的に行った。
「緋村くん……勉強は進んでるよ……京香のおかげでね少しはね!!」
「もう本当に日向はすぐに集中が切れるんだから教えるのが大変なのよ〜」
「だって勉強難しくて嫌なんだもん〜!」
朝比奈さんはリスみたいに口を膨らませてぷすぷすし始まる。
「そんな勉強イヤイヤな朝比奈さんに朗報だ! いい提案がある! お前らと俺らで勉強会やんねえか?」
大翔は淡々と僕たちに期末テストの勉強会を提案してきた。
「勉強会? それってみんなで勉強することでしょ楽しそう〜!!」
「確かに! それなら日向もやる気出しそうだな!! それにわたしも勉強会ってなったらやる気が出るからな」
「いひひ! あたちも面白そうだからその話に参加したい!!」
大翔の提案に朝比奈さんたち3人が賛成の色を見せる。
「あとはお前だけだぞ! 日影ー! 参加するのかしないのか? まあ、もちろん参加だよな?」
「僕は……ってかこれ僕も誘われてるの?」
「はあ? お前な〜それならお前をついてこいってここに呼ぶ意味なんてねえじゃねえか!!」
「あたちとっても楽しみだな〜!!」
「ああ! 影密くんは参加するよ!! もうそれは決まりだから!!」
「え? ちょっと朝比奈さん……僕まだ参加するなんて言ってないから……」
「なんでよ! 影密くんが来ないなら私勉強会なんて行かないから!!」
「ええ!? わかった勉強会行くよ……」
こうして僕は生まれて初めて友達と勉強会をすることになった。
そして、それから3日後……今日は土曜日で学校が休みなことから、大翔の家にて……前約束した通り、勉強会をすることになっていた。
「大翔っちの家めちゃくちゃ広いね! こんなに広ければリビングでマラソンできるじゃん!!」
「……そんなに広いか? てか、リビングでマラソンはできねえよ流石に……」
僕もこの前この家にお邪魔したけど、確かにこの家は広いな……でもマラソンはとてもじゃないけどできないと思う……
まあ、鬼ごっこならできそうだけど……
「私高校に入学してから何気に勉強会するの初めてかも!!」
僕たちはリビングで黙々と勉強をしていた朝比奈さんは何気に勉強会するのが初めてと言って目を輝かせているけども、僕は別の意味で現在、初めてを経験をしている。
僕は今人生初めて、朝比奈さんの私服を見ているのだ……
今まで朝比奈さんと遊ぶ時はいつも放課後で制服のままだったから、私服姿がとても新鮮に映っている。
朝比奈さんのそのピングのフード付きパーカなんだかすごくいいな……
「どうしたの影密くん私の方をジーと見て?」
「え? いや……洋服似合ってるなって思って」
「うふふ! このパーカー可愛いピンク色でいいでしょ? 私このパーカー気に入ってるのよ!!」
朝比奈さんはパーカーを嬉しそうにひらひらさせた。
「んぎゃー! 勉強疲れたよ〜ちょっと休憩しようよ〜あたちもう疲れた!!」
「ちょっと京香まだ勉強始めてから30分も経ってないぞ!!」
花輪さんは大翔のリビングにあるソファに思いっきり倒れ込む。
「ったく……でもさ、京香いつもあんな感じだけどテストいつもいい点数取るんだよ……ほんとなんというか不思議だよね」
千秋さんは不思議な眼差しで花輪さんを見る。
花輪さんっていつもはっちゃけてるけどもしかしたら影ながら努力してるのかな?
「この期末テストが終わったらさ! 夏休みがやってくるね!!」
「まあな! 高校が始まって初めての夏休みだからなこの試練を乗り越えれば楽園が待ってるってなったら朝比奈さんも少しはやる気出るだろ?」
「うん! そう考えたらめちゃくちゃやる気出てきたよ……!!」
もうすぐ夏休みか……そういえばイエローダンジョンで夏休み限定ダンジョンが毎年配信されるんだよな……
僕、去年はやりこんで、ダンジョンをクリアするタイムを競う大会で世界一位になったんだよな……
去年は、その大会のゲーム内ランキング2位のプレイヤーネーム……「ムササビ」さんと1位をかけて切磋琢磨してたな……
僕と切磋琢磨して2位の成績を取ったムササビさんは、僕が去年その大会を通じてフレンドになった朝比奈さん含めて二人目のネッ友である。
「そういえばよ! 夏休み成績悪かったやつ補習あるって聞いたぞ!」
補習か……僕前の中間テストは、まだいけたけど今回の期末テストは範囲が広くてちょっとやばいんだよな……
それに高校に入って勉強の難易度が上がって来てるし……
「ええ!? 補習あることなんて聞いてないよ〜」
「朝比奈さんあんた授業中先生の話聞いていなかったのか?」
「先生そんな話してた〜?」
「今日の数学の授業で言ってたじゃねえか、なあ日影〜言ってたよな!」
「え? ごめん僕もわかんないや……僕その時間多分寝てたからね……」
僕は昨日デラックスファイターズで朝比奈さんと夜な夜なオンライン対戦をしていたからおかげで寝不足だった。
もしかして、朝比奈さんも僕と一緒で授業中に寝ていたのかな?
「お前らな……ちゃんと聞いとけよ……」
「えへへ〜影密くん〜! もし補習になっても私たちの友情パワーで頑張ろうね!!」
「うん……まあ、補習にならないことに越したことはないけど……」
僕はみんなと勉強を教えたら教えられたりしながら勉強会を満喫した。
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