第13話 二人とも僕の一番なのに……

 そして、次の日の朝……僕はいつも通り学校に到着すると自分の席に座った。


「今日もいい天気だな!! 日陰!!」


 僕がHRの真っ最中、スマホをいじっていると、学年一の美少年と言われている昨日、僕がお友達になった、緋村大翔が僕に話しかけに来てくれた。


「あ、おはよう……大翔」

「ああ! おはよう日陰!! 俺、昨日パーフェクトマッチのオンライン対戦に潜ったけど全勝ゼロ敗だったぜ!!」


「すごい……さすが世界ランキング一位……」


「はは! だろだろ!! あ、そうだ……今週の金曜日のことだけどよ! お前俺の家にこいよ! 金曜日ちょうど家に誰もいなくて広いリビング使えるしよ! それに俺の家コントローラー四個もあるからコントローラ問題も心配する必要はねえし!!」


「……うん、わかった……その、大翔の家はどこにあるの?」


「ああ! 後で俺の家がわかるように地図をお前にメッセージに画像添付で送るから、それを見ながら来てくれ!! あ、なんだったら学校終わり俺と一緒に行くか?」


「え? いいの? じゃあお願いしようかな……あと、朝比奈さんに僕と大翔が遊ぶって話をしたら一緒に遊びたいって言ったから……その、朝比奈さんもいいかな? 一緒に遊んでも」


「んん? もちろんだ! でもよお前ら本当に仲良いなー!!」


「そうかな? そうかも……」


 そして、金曜日、大翔と遊ぶ日がやって来た。

 僕は今朝比奈さんと大翔と一緒に彼の家を目指して歩いていた。


「緋村くんの家ってこの辺なんだ! わたしこの辺あんまり来たことないから新鮮な気持ちだな!」


「ここら辺は有名な店いっぱいあってよ! そんなかでも俺の一押しは! 俺の家の近くにあるピアノピザっていう名前のピザ屋さんだぜ!!」


「へえ! ピアノピザ!? 美味しそうな面白そうな名前してるね!!」


「そうだろそうだろ!! 今度紹介すっからどうせならみんなで行こうぜ!!」


 朝比奈さんと大翔は楽しそうにお話しをしている。

 なんだか僕は蚊帳の外って感じ……まあ、僕が全然話に入ってこないのが悪いのだけど……


 そして、僕たちは大翔の家に到着すると、リビングに来るように促されて、僕たちはリビングに置いてあるでかいテレビの前の横に長いソファに座った。


「うわお!! このソファめちゃくちゃふかふかしてる!!」


 僕も朝比奈さんと一緒にソファに座ったけど、確かにこれはふかふかしてた……

 すると、大翔がコントローラを自分の部屋から持ってきて、僕の横に座わったことにより、僕はソファで朝比奈さんと大翔二人に挟まれた状態になる。


 すごいな……僕、今学年一位の美少女と学年一の美少年の二人に挟まれている……

 これは異様な光景だろう……


「ほんじゃあはじめるか! ゲーム!!」


 大翔はまず前々から約束していた、僕との勝負をするために、僕にコントローラを渡して一対一の真剣勝負を望んだ。


 僕もそれに応えて一対一の勝負を開始した。

 結果は僕の圧倒的惨敗だった。


「はは! やっぱり勝つと気持ちいいな!!」


 僕と緋村くんとの差はここまであるのかということを知らしめられた気がした。

 それから僕と緋村くんは何回も何回も対戦をした……結局僕は彼に一勝もすることができなかった。

 

 朝比奈さんは緋村くんの圧倒的パワーに圧倒されている様子だった。

 それはそうか……自分で言うのはなんだけど、朝比奈さんと同じぐらいうまいはずの僕がこんなにボコボコにやられてるからな……


 これが世界ランキング一位の力……

 どうして僕はこの人にまぐれではあるが勝つことができたんだ……


「いや! お前一回も俺に勝てなかったな! でもよ! 日陰お前も結構いい線行ってるんじゃないか? 俺には勝てないにしろお前も結構強いぞ」


 世界ランキング一位の人に言われたのだから、なんだか妙に説得力があるというか……とっても嬉しいな


「朝比奈さん! ずっと待たせちまって悪かったな! 俺と日陰の勝負を眺めているだけじゃ暇だろ? 次の対戦から朝比奈さんも入ってよ! あ、どうせならチーム戦にするか?」


「ううん! 緋村くんと影密くんの戦い見ててすっこぐ楽しかったから全然暇じゃなかったよ! それにわたしが無理言って影密くんに付いて来たんだから、それに関しては文句も言えないよ!! 緋村くん……ところで、チーム戦って具体的にどうするの?」


 チーム戦とは……デラックスファイターズでは、タイマン戦とチーム戦の二つのモードがあり、チーム戦は仲間とチームを組んで戦うモードである。


「え? うーん、チーム戦な……! それじゃあこうしよう! 俺と日陰がチームで、朝比奈さんとコンピュータがチームってことで!」


「ちょっと待ってよ! 緋村くんだけずるいよ私だって影密くんと同じチームになりたいよ!!」


「んあ? だめだ! 日陰は俺と組むんだ! 日陰はお前には渡さん!!」


「はあ!? なによ! 影密くんの一番のお友達はこの私よ!! 私がチームを組むべきよ!!」


「はあ? 日影の一番友達だ? そんなの誰が決めたんだ? 日陰の一番の友達は俺に決まってんだろ!? 何寝ぼけた事言ってたんだ!?」

 

 ちょっと……二人とも喧嘩しないで……

 僕は朝比奈さんと大翔に挟まれつつ二人の喧嘩をただ静かに傍観した。

 もう、二人とも僕の一番なのに……


「誰がなんと言おうと! 影密くんは私と組むの! 緋村くんとは組まないよ!!」


 朝比奈さんは僕の体を後ろから抱きしめてこちら側に引き寄せてきた。

 ちょっと朝比奈さん……背中……背中に柔らかいものが当たって……当たってるょ……


「おいおい!! 朝比奈さんそれはずるいぞ! 俺だって日陰と組むんだ!!」


 続いて、緋村くんは、僕の手を掴んで朝比奈さんが側から自分の方に僕を引き寄せてきた。

 なんなのこれ……僕綱引き大会の綱引きになっちゃってるよ……


「ちょっと! 緋村くん!! 私の影密くんを取らないで!!」

「あ? お前のじゃないだろ! 日陰は俺と組むんだ!!」


「ちょっと二人とも一旦落ち着いて……僕いい案があるんだけど……その、緋村くん世界ランキング一位で一番強いんだから、緋村くんとコンピュータが組めば良くない? ほら、コンピュータってレベル九までしかなくてさ……僕たちのレベルなら余裕で倒せるレベルだから……」


「……確かにな……お前の案が正しいかもしんねえな!」


 大翔は僕の案に納得の色を示したようだった。


「それじゃあ! わたしと影密くんがチームで緋村くんとコンピュータがチームってことで試合開始だね!! 影密くん絶対に勝とうね!!」


「……うん、勝とう……世界ランキング一位に……!」


「ははは!! お前ら二人の力が俺に通用するのか試してやる!!」


 それから僕たちはチーム戦を行なった。

 僕と朝比奈さんは二人で協力して、コンピュータの方は倒すことができたのだが、大翔を倒すことはできなかった。


「お前ら、なかなかいい連携してんじゃねえか……俺もちょっと危なかったぞ……」


「へへーん!! 影密くんと私は確固たる絆で結ばれているからね!!」


 僕と朝比奈さんは大翔をあと一歩のところまで追い詰めたのだが、あとちょっと届かず敗北してしまった。



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