第9話 照れてる可愛い〜!!!
「さてと! 影密くんきょうもあれやりますか!」
「うん! 今日も今日とて、負けないよ」
朝比奈さんは僕のベットから立ち上がると、気合いの入った声で僕に提案をしてくる。
僕と朝比奈さんが日常的に戦うゲーム、それはデラックスファイターズである。
「えへへ! 今日も負けないからね! 私今までの成績全部数えているから! 99勝 98敗で私がわずかながらリードしているからね!!」
「いやいや! 違うよ! 僕が99勝で、朝比奈さんが98敗でしょ!!」
「違うよ!! 私が99勝なの!!」
僕と朝比奈さんは微妙に自分の中の成績が違っているみたいだ……
「それじゃあ! これで勝った方の言い分が正しいってことでいい?」
「……それでいいよ、まあ……僕が勝つから僕の言い分が正しいことになるけどね」
「なによ! 負けないぞー!!」
僕と朝比奈さんはいつも通りデラックスファイターズをプレイした。
結果は、朝比奈さんの勝利で僕の敗北に終わった
「朝比奈さん……君の勝ちだ……」
「ふふふ! どうか見たか!! 私の強さを! 私の言い分が正しいのだ!! って言いたいところだけどここは引き分けってことにしない?」
朝比奈さんは突如そんな提案をしてきた。
「え? 引き分けとは?」
「つまりどっちの言い分も正しかったってこと! 私実を言うと勝敗なんてぶっちゃけどうでもよくて楽しむことが一番だからさ! だからこの戦い引き分けです!!」
確かに、そう言われると……勝敗なんてどうでもいい気がしてきたな……
「そうだね楽しむことが一番だね」
「その通りよ! ってことで! 次も私が勝つから!!」
「え? ちょっと! 今自分で楽しむことが一番って」
「さっきはさっき今は今よ!! ささ! 影密くん真剣勝負といきましょう!!」
「……君がそう言うなら僕だって負けてらんないからね」
「影密くんも意外というじゃない!! 真剣勝負や影密くん!!」
僕と朝比奈さんの戦いは、いつも通り夜八時頃まで続いた。
そして、次の日……
僕は昨日朝比奈さんと約束した通り、部屋の中でテーブルに教科書とノートを開いて一緒に勉強していた。
「……あ〜もう!! 勉強って本当に嫌だわ! 時々思うのよなんで勉強してるのかって……ああ、もう早くゲームしたい!!」
朝比奈さんは僕の横で教科書とノートを読んでいたが、すぐに限界が来たのか、教科書を持ちながらベットに寄りかかる。
「ゲームはまだダメだよ……確かにテスト中は無駄にゲームをやりたくなっちゃうけど、テスト勉強中は頑張って自粛しないと」
「影密くんは本当に偉いね!! 私影密くんと勉強してなかったら多分今頃ゲームのコントローラー握っていると思う! てことで! おやすみ影密くん!!」
「寝るな!! まだ勉強は終わってない!!」
朝比奈さんは僕のベットに入って、布団をかぶって寝る体制に入った。
朝比奈さんまだ勉強始まったばかりですよ……
「もう十分やったじゃない〜!! あ、そうだ! どうせなら影密くんも私とここで一緒に寝る?」
朝比奈さんはとんでもないことを提案してきた……そんなの僕の心がもたない……
僕だって一応思春期真っ盛りな男子高校生なんだぞ……女の子と一緒のベットで寝るとかそんなこと耐えられるはずがない……
「……ぼ! 僕は遠慮しておくよ……そうじゃなくて……朝比奈さん勉強しないと!」
「えへへ! 影密くん私と同じベットで寝るところを想像して照れてる可愛い〜!!」
「て、照れたなどいない……ほんとだよ……」
嘘……ほんとはすごい照れてるけど……その証拠に日本語がちょっとおかしくなってるし……
「ありがとう……影密くん! 私影密くんと出会ってから毎日こうやって遊んですっこぐが楽しいよ」
「……う、それは僕のセリフだよ……」
僕は朝比奈さんの笑顔に思わず照れてしまった。ていうか、この子は本当に可愛いな……
「さてと! それじゃあ勉強しましょうか!! 私このまま成績が振るわなくて、退学になっちゃうのも嫌だから! まあ、学校退学になってもこうやって影密くんの家に突撃するんだけどね!!」
そんな……退学って大袈裟な……
なにはともあれ、朝比奈さんがやる気を出してくれて良かった。
そして、中間テストが無事終了した。
「うわん!! 疲れた! 疲れたよーん!!」
朝比奈さんは中間テスト終わり、いつも通り僕の家に来ると、僕の部屋のベットに寄りかかった。
「……お疲れ様……朝比奈さんなんか飲む?」
「……うん!! 飲むー! 飲む飲むー!! めちゃくちゃ喉乾いたから私!!」
「それじゃあ、リンゴジュースかオレンジジュース、それかメロンソーダ何がいい?」
「メロンソーダ!! 炭酸の気分!!」
「……はいよ」
僕は朝比奈さんに聞くと、一階のキッチンにある冷蔵庫から、メロンソーダが入った容器と紙コップを持って自分の部屋に向かった。
「……ぷはあ!! やっぱりテスト後の炭酸は体のあちこちに沁みるね!!」
朝比奈さんはメロンソーダを紙コップに注ぐと、ごくごくいい音を立てて、一気飲みしたのち、幸せそうに上を向いて声を出した。
さすがは学年一の美少女……今のはテレビCMかと間違うぐらい、迫力満点だった。
「朝比奈さんテストお疲れ様……どうだった手応えの方は……」
「うーん、わからない! 一応見直しはしたんだけど、まあよくわからかった……でも! 影密くんといっぱい勉強したからね! 私テストできてるって信じてるよきっと!!」
僕も今回はなんだかいけそうな気がした。
なんでかわからないけど、朝比奈さんと勉強したからかな?
「朝比奈さんならきっと大丈夫だよ……そばで勉強してるのをみてた僕が保証するから! まあ、僕なんかが保証したからなんだって話なんだけど」
「またそういうことを言う! 影密くんの保証は家電商品の何年保証みたいにすっこぐ心強いんだからね!」
確かに家電商品の何年保証は壊れてもその年までは保障してくれるというサービスだから本当に心強い……
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