第8話 僕と朝比奈さん二人だけの日常
僕は先ほど朝比奈さんと約束した通り、デラックスファイターズをするためにテレビゲームの電源を入れた。
「へえー! 影密くんこのゲームでもマスターなんだ! なら今度もしオンラインで当たることがあったら私わかるね! 私名前うさぎだから」
「朝比奈さん本当にうさぎ好きだね……」
「うん!! わたしうさぎが世界一好き!!」
僕たちはそんな話をしながら、コントローラを各自持って、キャラクターを選択する。
本当は僕はコントローラを一人分しか持っていなかったのだけど、予備としてこの前もう一つコントローラを買っていた。
それがよもやこんな時に役に立つとは……
「私! ソーグを選択する!!」
朝比奈さんが選択したソーグとは、剣を使って戦うキャラクターで主に近接戦闘を得意とするキャラクターでその使いやすさもあってかこのゲームの今の使用率圧倒的トップである。
「僕は……アールルにしようかな!」
アールルとは、弓を使って戦うキャラクターで、主に遠距離戦闘を得意とするキャラクターで、操作が難しいが使いこなすと強いキャラクターだ。
「私絶対に負けないから!!」
「僕も絶対に負けない!!」
僕たちはお互い決意を口にして、お互い真剣勝負の戦いを開始した。
今、プレイヤーテーマうさぎVSマスターの戦いが始まった。
「行け! ソーグ! 私たちの力を影密くんいや、マスターに見せてやれ!」
朝比奈さんは華麗な剣さばきで僕のHPをみるみる減らしていく。
さすが、やるな朝比奈さん……
「僕も負けてられないよ!!」
僕は朝比奈さんの攻撃をガードして、炎の弓矢でカウンターを喰らわせた
「いや!? やるねマスター!」
「朝比奈さんこそ……めちゃくちゃ強いじゃん」
僕たちはお互いは褒め称えつつも、お互い攻撃の手を緩めずさらに強くお互いのHPを減らしあった。
「……ま、負けちゃった……」
そして、朝比奈さんの使うソーグのHPがゼロにはったことで、朝比奈さんの負けが決定する。
「……危なかった……ほんとに危なかった」
僕のHPも後少しのところまで削られていて下手をすれば今の試合僕が負けていた。
「あらら! 負けちゃった……ふふふ! アハハハハハ!!」
朝比奈さんはいきなり大声で腹を抱えて大笑いを始めた。
僕は何事かと思い朝比奈さんをびっくりした眼差しで見つめる。
「いやね……めちゃくちゃ楽しいなって! 影密くんとの戦い!! 私こんなに笑ったの久しぶりだよ! アハハハハ!!!」
学校では学年一の美少女と言われている朝比奈さんが、今僕の隣で腹を抱えて大笑いをしている。
なんだか、学校と家のギャップがすごすぎてやばいな……
「朝比奈さんが嬉しそうに良かったよ」
「……ええ? とっても嬉しいよ! よーし! 影密くんもう一回戦だ! 次は負けないよ!!」
「……望むところだよ!!」
僕は朝比奈さんともう一回、二回、三回と勝負を重ねていった。
「ふう〜! なんか疲れたね影密くん!」
「そうだね……ってうえ!? もうこんな時間!」
僕が部屋にある時計を見ると部屋の時計は午後8時を差していた。
どうやら僕と朝比奈さんは時間を忘れて戦いに没頭していたらしい
「え? もうこんな時間なの? もっと影密くんと遊びたいのに〜!! むむむ!! ねえ! 影密くん明日も来ていい?」
「え? 明日?」
「私高校に入って勉強が難しくなって少しでも息抜きをしたいの〜!!」
「僕はいつでも来ていいけど……」
「やったー! 影密くんまた明日バトルしようね」
「……うん、また明日」
僕は朝比奈さんのことを家の玄関までお見送りして、朝比奈さんは笑顔で僕に手を振って、自分の家に向かって歩いて行った。
そして、あれから一ヶ月が経った。
僕は徐々に高校生活に慣れていったが、これと言った友達はまだ朝比奈さん一人しかいなかった。
そんな中、学校終わりのHRで、もうすぐ、中間テストがあることを伝えられる。
学校の先生はみんなが大好きなテストだぞとふざけていうけど、僕はテストが大嫌いだ……
僕は勉強が得意なわけじゃないし、テスト前だと勉強しないといけなくなって大好きなゲームができなくなるのがとても嫌だからだ……
あれから、朝比奈さんとは週に一度や二度、僕の家で一緒にゲームをしたり、一緒に本屋に行ったり、そんなごくごく普通の友達のような感じで過ごして行った。
最近僕の隣にはいっつも朝比奈さんがいて、なんだか朝比奈さんがもう他人だとは到底思えなくなっている。
そして、今日はいつも通り、朝比奈さんは僕の家に入り浸っている。
「いやー! ついにやってきてしまいましたね! 学生の天敵中間テスト!!」
朝比奈さんは僕のベットに寄りかかって、漫画を見ながら僕にそう喋った。
「僕もついにきたかって感じだよ……高校生は学生だからいずれ来ると思っていたんだけど、中間テスト……ついに来ちゃったか」
「もう! 中間テストなんて何のために存在するのかわからない!! どうせテスト中間なしでするなら期末テストだけにすればいいのにね!!」
「それだと、今度期末テストの時に勉強する範囲が広くなっちゃうよ」
朝比奈さんはいっつも真面目に授業を聞いているから、中間テストなんて、アクションゲームやRPGゲームに出てくる序盤の雑魚敵みたいなちょいちょいのちょいで倒しちゃうんだろうな……
「よかったらさ! 中間が近くなってきたことだし! 明日からここで勉強会やらない?」
「え? 勉強会? 朝比奈さんも中間テスト不安なの?」
「なによ! 私中学生の時、中間テストや期末テストボロボロで散々な結果だったんだからね! 全く馬鹿にしないでもらいたいわ!!」
朝比奈さん、それ……別に威張っていうことじゃないよ……
てか、朝比奈さん……勉強ダメダメなのか、ちょっと意外だな……僕てっきり朝比奈さんは勉強がとってもできるのかと
「てか、明日からって今日はやらないの?」
「今日はやらなーい! 明日からやりまーす! だから今日はまだテスト勉強なーし!!」
朝比奈さんはそう言って、僕のベットに勢いよくダイブして、寝転び始めた。
普通、僕のベットに女の子、しかも学年一の美少女と言われる朝比奈さんが寝転んでる!? ってドキドキするところだが、僕は何回もこの光景を見ているので、特にドキドキもしない……
いや、ほんとは最初はめちゃくちゃドキドキしたけど……
「朝比奈さん、めちゃくちゃくつろいでるね……」
「へへーん!! 私この家は第二の家だと思っているから! 影密くんの部屋にあるこのベットも私の第二のベットだもん!!」
朝比奈さんは相変わらず、僕に気を許しすぎじゃないか……
「朝比奈さん……なにしてるの?」
朝比奈さんは僕の枕を抱きしめて、ベットの上でコロコロあっちこっち転がっていた。
「え? なんでかわからないけど、影密くんの枕を抱きしめると落ち着くの! 不思議だね! 影密くんもし良かったらこの枕私にちょうだい!!」
「いやだよ! それは僕の枕だもん!」
「ええー! ケチ! まあ嘘だけどね!」
朝比奈さんはそんな冗談を言って笑っている。
これが今の僕と朝比奈さんの日常なのだ……
クラスや学校のみんなが知らない、僕と朝比奈さんだけが知ってる二人の日常……
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