第6話 朝比奈さんが僕の家に
「朝比奈さんめちゃくちゃ強いね……僕全然勝てなかったよ」
「まあ、私は最近よくアーケードの方をやってるからね!! 影密くんもすごいよ! だってこのアーケード版やるの初めてだったんでしょ?」
僕は朝比奈さんに全敗したものの、結構善戦したと自分で言うのもなんだけど思う
「うん……そういえばドラフトってどうやってやるの?」
朝比奈さんはパープルカードでドラフトを決めていて、僕が朝比奈さんを抜かして一位に躍り出た時も、ドラフトを駆使してあっという間に僕のことを抜き去って行った。
「えーとね! アクセルあるじゃん! 左側についている! そこのアクセルを踏みつつ! ブレーキを踏んでそこについているハンドルを右か左にきるとドリフトすることができるよ!!」
「ありがとう教えてくれて……」
僕は朝比奈さんが丁寧に教えてくれたので、それに対してお礼をいった。
「……さーて! それじゃあそろそろ帰ろうか!」
「……そうだね」
僕は朝比奈さんが満足したようにそう言ったので、一緒にゲームセンターを出た。
「あ! そうだ! さっきは漫画を貸してもらうって言ったけどさ! どうせなら今度影密くんの家に遊びに行ってその時に漫画見させてってことでもいいかな?」
「え? それって朝比奈さんが僕の家に来るってこと?」
「……そう!! 私! 影密くんの家行ってみたい!」
僕たちはゲーセンからそれぞれ家に帰るために駅に向かう最中、急に朝比奈さんからそんな提案をされる。
え? 朝比奈さん……しかも女の子が僕の家に?
僕はなんか恥ずかしいからほんとは断りたいけど朝比奈さん断ったら悲しむだろうな……
「……わかったそれじゃあ今度……その……」
「ほんと!? やったやったー!! イェーイ」
僕はまだ何かを言おうとしたのだが、見事に朝比奈さんの嬉しさから出る声にかき消された。
朝比奈さん僕の家に行くのがそんなに嬉しいのか?
本当に変な人だな……
「影密くんのお家楽しみだな!! えへへ、楽しみ楽しみ〜!!」
朝比奈さんは上機嫌でステップを始めた。なんだか朝比奈さんはいつも笑顔で見てるとこっちまで笑顔になるな……
「影密くん! あなたのお家いつ行っていい? 明日!? 明後日!? 明々後日!?!?」
僕は特にこれといった予定はないけど、流石に明日はいきなりすぎというか……
なんとなく心の準備ができてないな
「……僕はいつでもいいけど……でも明日はちょっと……」
「それじゃい明後日!! 学校が終わったら影密くんのお家に行く!! 学校から直接行くから影密くんエスコートよろしくね!!」
「え? 直接行くの? 僕の家に」
「当たり前じゃん!! だって、直接いかないでいちいち家に帰ってたら時間ロスになるし!」
エスコートってことは、僕が朝比奈さんを案内するってことだよな……ちゃんと僕の家に案内できるかな……
「……わかったよ……じゃあ朝比奈さん明後日って火曜日か……よろしくね」
「こちらこそよろしく! そうだポテチとかチョコレートとか色々買っていこうっと!! お菓子パーティだ! えへへ!」
朝比奈さんはとっても嬉しそうに微笑んだ。
なんだか朝比奈さんは学校では優等生っぽいけどここでは普通におちゃらけてるな……
そして、火曜日……
(ひかげ) 僕、学校の校門前で待っているから朝比奈さんそこまできてくれると嬉しいな!
僕は朝比奈さんにそういう旨のメッセージを送った。
理由は……朝比奈さんと一緒に暮らすから一緒に歩いて向かうと、目立つと思ったからだ……
(ひなた) はいはーい!!
朝比奈さんはそれに対し陽気なメッセージを送ってきた。
僕はそれを確認すると、静かに椅子から立ち上がり、校門に向かって歩き始めた。
校門に着くと、たくさんの生徒が下校するため、校門を通過してからに帰路につくために歩き始めていた。
ワイワイ友達と喋りながら帰る人や、手を繋いで帰るカップルなどを眺めながら、スマホをいじりつつ朝比奈さんの到着を待った。
「ごめん!! 影密くん待った!?」
「ううん、僕も今来たところだよ……」
「それじゃあ行こうか! 影密くん!!」
僕は朝比奈さんと一緒に僕の家に向かって歩き始めた。
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