第3話 マスターさん……いや! 影密くん!!

 僕は今家に帰って、イエローダンジョンをプレイしている。

 あの後、一緒にゲームをするためにOINEを交換しようと言われて僕たちは交換した。


 OINEとは、気軽に友達とメッセージが出来る、ツールだ。


 僕のOINEの友達には「ひなた」そう書かれた一人の友達がいる。

 まさか僕のOINEに家族と公式OINE以外の友達ができるとは今日の朝には思っても見なかったことだ


 ——そして、次の日

 僕は思い足取りで学校へと登校した。

 そして……ひっそりと自分の席へと座る。


「影密くん!! おはよう〜元気?」


 何と朝比奈さんは僕の席まで来て、僕に手を振って元気よくそう挨拶をしてくれた。


 それを見た、クラスのみんなはとても不思議そうな顔をしていた。


 確かにそうだね……何でこいつが……朝比奈さんと喋ってるんだ? 

 普通はそうなるよね、だって彼女……入学式からみんなに学校一の美少女って言われてるんだもん……


「うん、元気だよ……」


「それは、よかった!! でねでね!! 昨日あのゲームでとても素晴らしい事を発見したんだ!! 昨日一緒に攻略したあのダンジョンには実は隠し宝箱があったんだよ!! すごくない!!」


 彼女は食い気味にぐいぐい僕に話しかけて来る。

 そういう人を気にせずに話せるところはとても羨ましい……


 今日、この日は、まだ入学して間ないということで、午前だけの授業というより、学校生活だった。

 僕は今日クラスメイトから、懐疑的な目と……あと、特に男子からは一段と不思議そうな視線が飛んできた。

 

 そうだよな……朝比奈さん……とっても可愛いから……男子たちがそういう目で僕を見るのはわかるけど……


 そして、僕は家に帰ると、自宅に帰るとソファに倒れ込む。

 何だか本当に疲れた……

 すると、僕のスマホが鳴り、通知を知らせた。

 朝比奈さんからメッセージが届いたのである。


 (ひなた) 影密くん……大丈夫? 


 朝比奈さんからメッセージが届いた、僕は何が大丈夫なのかわからず……彼女にメッセージを飛ばした。


 (ひかげ) なにが……大丈夫なの?

 (ひなた) だって……影密くん……今日元気なさそうだったもん……


 そういうことか……きっと、朝比奈さんは優しいから……僕がクラスメイトから注目されて今まで注目されたことがない僕にとってはちょっと困っていたことを心配してくれたのか?


 (ひかげ) その……朝比奈さん……明日からしばらく学校では……あんまり話しかけないでくれると嬉しいな……


 すると、僕は何を思ったか……そんなことをついついメッセージしてしまった。

 いや、別に朝比奈さんと喋りたくないというわけではない……ただクラスメイトの注目を浴びることにちょっと疲れを感じるだけだ……


 (ひなた) 一応……理由を聞かせてもらってもいい?

 (ひかげ) ごめんね、せっかく友達になってくれて……でも、僕は学校生活は穏やかに暮らしたい……朝比奈さんが喋りかけてくれるのは嬉しいんだけど……僕は人目を気にしちゃうから……


 (ひなた) そう……ごめんね


 本当にごめん、朝比奈さん……

 僕はいつか……人目を気にせず……朝比奈さんと堂々と友達としてみんなに胸を張って言えるようになれるだろうか……


 ーー次の日

 今日は学校の委員会決めが行われた。

 僕は何となく図書委員会を選択した。

 偶然、他の人が僕と同じ委員会を選ばなかったので、僕はスムーズに図書委員会に決定した。


 それからこのクラスの学級委員長決めが行われた。

 学級委員長には、緋村大翔ひむらひろとという、クラス内……いや、学年一の美少年と言われる生徒が立候補して決定した。


 学級副委員長には、朝比奈日向……朝比奈さんが立候補して決定した。


「よろしくね! 朝比奈さん」

「うん、よろしく緋村くん……!!」


 僕が座っている後ろの席の女子二人から、「お似合いじゃない?」そう会話しているのが耳に入った。

 確かに、僕の目から見てもあの学校一と学年一のお二人はお似合いだった。

 

 そして放課後になって、僕は帰ろうと席を立つ、すると……朝比奈さんから一件のメッセージが来た。


 (ひなた) 影密くん……いまから、場所教えるからここの教室これないかな?


 僕は彼女のメッセージに記された場所へと向かう。 

 そこには、空き教室と書いてあって、朝比奈さんがポツンと教室に一人立っていた。


「あ、やっと来た! 影密くん! おはよう!!」

「え? なんで、おはようなの?」

「だって、私たちさ、朝だっておはようの挨拶してないじゃん!!」


 そう彼女は笑顔を馴染ませた。

 朝比奈さんは本当に優しい……こんな僕を友達だと言ってくれて……話しかけてくれる……


「でね、今度「マニメイト」で「イエローダンジョン」の期間限定コーナーができるんだって、だから一緒に行かない? マスターさん……いや、影密くん!!」


「そうなの!? でもいいの? 僕なんかで……」

「なに……言ってんの? 私は影密くんと行きたいだよ!!」  


「……うん、僕でよければお供するよ……」

「えへへ! やった! でねでね! その「マニメイト」に行く時、他のところも行きたいなんて!えへへ!!」


 朝比奈さんは本当に楽しそうに話すな……

 彼女の笑顔を見ているとこっちまで笑顔になる


「うん! 朝比奈さんが行きたいところ……行こうか……」


「ほんと!? やったー!! ありがとう!!」


 ……こうして、僕は友達である朝比奈さんと遊びに行く約束をした。


 ーーそして、今週の日曜日

 僕は急いで家を出て、電車に乗って、朝比奈さんとの待ち合わせの駅へと向かった。


「待った!? ごめん、朝比奈さん……」

「私も今来たところだよ!! 影密くん!」


 ーーそうして、僕と彼女はイエローダンジョンの限定コーナーを目指しまず「マニメイト」に向かった。

 

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