僕のにおい

@yi1014

第1話 【僕】

『明日から東京か…』


思い返せばこの8ヶ月間、怒涛の日々だった。

夏に家族で旅行予定だったけど僕だけが風邪で行けなくなり、両親と兄の3人で車で出掛けた矢先の事故。相手の前方不注意。あっけなく、僕は両親と大好きだった兄を亡くした。それだけではない。

これまた大好きだった生まれ故郷・京都市を離れなくてはならなくなり、それはすなわち幼馴染や失わなければならないものの数の多さに呆然とした。

幸いといってはなんだけど、姉の凜が東京で公務員をしており、部屋も余っているので同居できるようになった。


『明日から東京か…』

『ん?なにか言った?』

そうだ、いまは姉ちゃんとスマートフォンで会話中だった。

『拓真、明日からの東京生活、宜しくね』


気丈に振る舞ってくれる姉がいたからこそ、僕はなんとか立っていられる。


東京でどんな生活が待っているのだろう。

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