二十一話 軽々と越えた一線
「さっ、上がって上がって♪」
「お邪魔します」
朝の約束通り
彼女の言葉が正しければ '' そういうつもり '' で呼ばれたわけだ、緊張しないわけが無い。
ドクドクと跳ねる心臓が心を冷静さを掻き乱してきて鬱陶しい。
リビングに案内されテーブルに座る。
「お茶とあと…何があったかな…?」
「お茶くれる?」
俺に選ばせてくれようとしてくれるのは嬉しいが、提示してからお茶の他に冷蔵庫を探し始める彼女の可愛らしさに思わず苦笑してしまう。
人の家に上がらせてもらっておいてアレコレを望むほど強欲なつもりもない。というか別にお茶は普通に好きだし気遣いも嬉しいよ。
「いいの?ジュースあるよ?」
「ありがと、お茶でいいよ」
どちらが良いという強い希望もないので正直どちらでもいい。ジュースも好きだからね。
なによりここでそんなに時間を掛けたくないというか、早くしたいというか…。
ということで紗奈さんがお茶を持ってきて俺の隣に座った。
「ありがとう」
「どーいたしまして♪」
声を弾ませて笑った紗奈さん。とても可愛いですね抱きしめちゃいたいくらいだ。
あまりの可愛さに照れてしまい、熱くなる顔を冷ますために冷たいお茶を煽る。
「おぉっ、いい飲みっぷりだね」
「喉が渇いてたから」
嘘は言ってない、半分はその通りだからな。
とはいえ彼女も喉が渇いていたようでグビグビとお茶を飲んでいる。飲み終わり プハッ と声を出している。かわいい。
「…ちょっとドキドキしてる」
紗奈さんが俺に体を預けながらそう言った。
その頬はほんのり赤く、ニヨニヨと口角が上がっている。ワクワクが隠しきれてないぞ。
「俺はすごくドキドキしてるよ、ほら」
彼女の手を取って胸に当てると、更にその手から心臓の鼓動が伝わってくる。
それを感じた紗奈さんが笑顔になった。
「ふふっ、
どうやら緊張している俺がよほど嬉しかったのか彼女が俺に抱きつきながらそう言った。
そのまま俺の首筋にキスをして、抱き締める腕に力を入れている。
「……行こっか…」
「っ…うん」
何処へともなくそう言った彼女は少し息が荒い。
凄まじく妖艶な雰囲気を纏った彼女に思わず気圧されてしまうが、俺としても望むことであったため頷く他なかった。
手を引かれるままに彼女の部屋に入り、導かれるままそこにあるベッドに腰を据えると思い切り唇を重ねた。
「ハァ…ハァ…もう、我慢できない」
「ちょっと待って、せめて…」
ひとしきり触れ合った後、互いに身に付けていた物を脱いでスイッチが入ってしまって激しい呼吸をする彼女が、なにも付けずに行為に及ぼうとするのでせめてゴムくらいはと手で制す。
「いらないよそんなの、赤ちゃん作ろ。結婚しよ」
紗奈さんからのプロポーズは嬉しいが流石にこれはヤバい、色々とアカン。
捕食者のような眼光を向けてくる彼女に怯みつつも最後の力を振り絞り用意してきたソレを身につけた。
あれから互いを求め合った俺たちは、持ってきたソレを全て使い切って息も絶え絶えとなっていた。
ベッドの上で乱れ…貪ってきた彼女の肌はとてもツヤツヤとなっており未だ俺の体にキスの雨を降らせている。
俺はというと彼女に乱れさせられてしまい、途中から何が起きたのか訳が分からなくなっていた。
「えへへ♪樹くんってかわいいね♪」
「お、おう…」
頬を上気させそう言った紗奈さんがまるで大人のお姉さんに見えてしまうくらいにはこう…エロかった。ぼく みたいな子供には刺激的すぎるよ。
「あははっ♪疲れちゃった?」
「そうだね、もうムリ…」
何回ヤったか分からないくらいにはヘトヘトで、起き上がることさえ
仰向けになりながら、心地よい気怠さに身を委ねる。
「じゃあそのままゆっくりしてね」
「そうするよ」
そう返事をすると彼女は引き続きキスの雨を降らせてくる。
唇や頬、首と額、胸に腕…本当にあちこちにキスをしつつお互いの指を絡ませている。
今日は身も心も交わったと言えるのかもしれない。初めてにしては過激すぎる気もするけどね。
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