第2話
アラームの音がして、目が覚める。
少しすると
「準備する」
と好きな人の声。
きっかけはなんだったかな。
好きな人の声を聞くと安心して、良く眠れるからだったかな。
実際それで、睡眠時間は数年前よりも2時間伸びたし眠りも深くなった。
私が好きになった人は、毎日通話してくれる。私はそれが凄く嬉しい。
10代後半から30代後半は、深海からマリアナ海溝に沈んでいた(前話参照)し、人を見る目も良くはなかった。本当に、あの時期は私のあらゆる闇を詰め込んだ時期だと言える。
常に『終わらせてしまいたい』と思っていたし、別の選択肢を選んでいたら?とも考えていた。ただ、それには前提条件として〖親に話が出来る・もしくは相談が出来る〗という環境、関係性でなければならない。
あの人達に、それを求めるのは今でも無理だと明言できる。
特に母に関しては、死ぬまで無理だと思う。
だから、あの当時の私に他の選択肢があるのだとしたら、それは人生を終わらせると言う一択だった。
今は、その選択肢を取らずにいてくれた事に感謝している。
過去の私が舐めた辛酸は、無駄ではなかったのだと言える。
深海とマリアナ海溝を行ったり来たりしていた時期は、常に体調も悪く自責癖もあって。ちょっとしたことでも、自分のせいだと思っていた。
そんなことは微塵もないのだけれど。
あの頃の私は、自分とその他の境界線が曖昧だった。相手がどう受け止めるかは相手の問題、というのが解っていなかった。
手痛い経験をした後、身体を壊した。
急性膵炎だった。
背中から肋骨が締めあげられる痛み。
痛みで息が出来ない恐怖。
痛みには強い自覚はあったけど、あの時の痛みは二度と経験したくない。
2週間、絶食して回復した。
あの時痛みが出た食べ物は、今もあまり好んでは食べない。
膵炎は、なんだか色んなものを持っていった気がする。
実際、あの後からマリアナ海溝→深海→水面と徐々に光のある方へ浮上した。
深海を這い出て、水面に顔を出せてからの変化は自分でも目を見張るほど。
膵炎の時に消えた体重(12kg)は、私のストレスの塊でもあった気がする。7年間何しても落ちなかった体重。
今は、落ちてから増えていない。
(生理前は2〜3kg増えるが、ホルモンバランスの仕業なので気にしない)
私が好きになった人は、自分とその他の境界線がちゃんと引けている(と私は思っている)。
引けていなかった私は、彼から学ぶことが多い。常に周りの目を気にしていたし、関わることの無い他人にすら何か言われたらどうしようと考えるくらいだった。
「通行人なんて二度と会うことないじゃん」
て言われた時は、目からウロコだった。
『周りに迷惑をかけるな』と言われて育って来た私にとっては、それはもう天地がひっくり返るくらいの衝撃。
だけど、あの人たちの『周りに迷惑をかけるな』は、『自分たちに迷惑をかけるな』だったんだなとその時理解した。
それがちゃんと解ってからは、気にしなくなったな。以前の私からは想像してなかった自分になっている。
2年前とは全然違う、と思う。
10年くらい付き合いのある人にも、変わったって言われるから【好きになった人の影響】は偉大だ。
前話で「怖い」と書いたけれど、それは私自身の根底にある自信のなさや自己価値観の低さから来ていて。下火にはなったけれど、燻ってはいるのです。
完全に消えることはないし、それも大事な私自身。
好きになった人が
「無理に強くならなくていいんじゃない」
そう言ってくれて随分楽になった。
その言葉が貰えたから、『私なんて』から『そういう部分もあるよね』に変わる事が出来た。
好きになった人は、裏表が無いと思う。
思ってないことは言葉にしない。
不器用なところもあるし、ぶっきらぼうだけど、嘘をついたりはしない。
本人が嘘や誤魔化しが嫌いだと明言しているし、嫌いなものは嫌い出来ないことは出来ないと一貫しているので、とても尊敬しているし信頼してる。
彼のことは事細かに○○(声だったり顔だったり性格的な部分だったり)が好きとかではなくて、それも全てひっくるめた〖彼〗という存在そのものが好きなので「どこが好き?」と聞かれると、「全部」としか言えない。
全てを知ろうとは思わないし、聞きたいことは聞けば応えてくれる。(私自身が、思考の癖から聞くまでに時間を要することはある)
こんな風に書いて突っ込まれないか心配はあるけど、私も一貫して同じことしか書いてない気がする。(想綴り参照)
本当に、大好きなんですよ。
深海から、最終的に引き上げて「人」にしてくれた存在でもある。
彼がいなければ、今の私はない。
そう断言出来る。
彼の寝息で落ち着いて眠れる。
一緒にいて寝顔を見られるのは、本当に幸せでずーっと見ていたいなぁと思う。
傍にくっつくのが好きだから、出来ればずーっとくっついていたいな。
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