プロローグ2(中学生編)
第3話 中学でもぼっち
私は水篠詩悠。ピチピチの女子中学生……だというのに、どうしてかは知らないがお友達ができないの。なんでだろうね。仲良くなりたいって言う意思表示はしてるんだけどね。うーん……
まあ毎度毎度いなくても別に困らないしいっかという結論に帰結してお絵かきしたり優香としゃべったりしてるんだけど。そう、そうだ。私には優香がいるから、別にぼっちじゃない。誰が何を言おうと、ぼっちじゃない!
今日は夏休みに入る前の最後の授業だ。明日は終業式。晴れて夏休みを迎える日。夏休みも、優香とはいろんなところに行こうという計画を立てたから、きっとぼっちじゃないぞ。うん。
だんだん考えてても馬鹿らしくなってきた。かく言う今は、この日最後のイベント、帰りのHRの前のちょっとした時間だ。先生がいつまでたっても教室に上がってこないから、今の間にトイレにでもいってようという判断。どうだ、スマートだるぉお?懐かしいなあの人。元気してるかな。してるか。ワイルドだしな。
んー?おかしいな。このままHRさぼって帰ろうとしてたから、せっかくトイレの前までかばんを持ってきてまで準備していたというのに、なんか教室が騒がしくなったと思ったら、静かになったきりだ。誰も廊下を通る気配はない。
放送がなっていたような気もするけど、トイレでは放送はうまく聞こえないため、何言ってるのかはよくわからなかった。けど、先生が呼ばれてたようなというかすかに聞き取れた情報で放送内容を予測する。
しゃーない。一人で帰るか。すまねぇな優香。あたしゃHRでだらだら話聞くのも待つのもごめんだぜ。
と、てくてく歩いていくが、やっぱりおかしい。静かすぎるのだ。これ、授業中くらいだぞ。先生の声もしないから授業中よりも静かかもしれない。私は変に思ってカバンを置いて、そろりそろりと廊下をスニークし始める。私のクラス2年3組は、3階校舎の真ん中くらいにある。全部で5クラスくらいだから、まあ妥当なクラス配置なのだが、東と西のどちらの会談からも平等に遠いため、とてもうざい。トイレまでが遠い。
んで、優香は2年1組だから、今私がいる東階段と対極、西階段に接するクラス配置だ。可哀そうに、女子トイレは東階段側にしかこの階は存在しない。まあ、一つ下にはあるんだけどね。腹立つ。
「ん?あれ、あんな先生いたっけな」
5組の教室の窓からちょっとだけ見えた男の人。私はこの学校に通っていて見たことがない。まあ、私が知らないと思っている先生なんて何人もいるから、私の意見はあまり頼りにならないのだけど。
それにしてはなんだか怒ってるようにも見えるな……
あ、あれだ。特別講師みたいなやつが説教してるんだ。そうに違いない。まいったな。クラスに戻ったら量産型のあんなんが怒鳴り散らかしてるだなんて、もういやだいやだ。帰りますか。じゃあな優香。こんどこそ私は抜けさせてもらおう。
私は二階まで降りてくる。すると、一人の男の人と目が合った。
「おい、今はHR中だろ。んいやってるんだ」
「あいや、ちょっと体調悪くて……早退しようとしてたんですよ」
「それでももうすぐで終わるんだから、あと数分くらいHRが終わるのを我慢すればいいじゃないか」
「でも、その数分耐えたせいで私が体調不良で救急搬送されましたとかになったら先生責任とれるんですか?」
「……そうだな。帰った方がいいかもしれない。だが、念のため保健室によってからにしないか。そこで悪いと判断された場合には、先生が保健室の先生と一緒に君を乗せて病院まで直接行こう」
「あ、すみません。ちょっと腹痛が……」
私は目の前の先生なんて知らない。まあ私が知らないだけっていう可能性も――(中略)
でも、この人は冷たい目をしている。出会って一番初めの優香はもっとやんわり突き放すような温かみを偽った冷たい目だったけれど、この人は違う。はなから私に温情などを見せるようなそぶりがない。
「ちょっとお花を摘みに行ってまいりますわ。おっほっほ」
人の気持ちに人一倍敏感な私だから感じることかもしれない。早くこの人から離れたい。そんな気持ちで一階に降りようとするが。
「どこ行こうとしてるんだよ。女子トイレは上のはずだろっ!」
「ぐふぁ……っ、ぁ……」
「あいつら、だから見回りはもう少し厳重にしろといったんだ。まあいい。少しおとなしくしてろよガキ。あぁ、トイレが我慢できないならここですればいい」
「ハッ、ぁ……じょ、女子に面と向かってソレ……かっ、は……せ、くっ……ハラ、ぁ、だよっ……はぁ、ぁ、」
男に空き教室めがけて突き飛ばされたときに、打ち所が悪かったらしく突き飛ばされたときに
「お前、意外と顔はいいんだな」
「けほっけほっ……ぁ、k、ぁkか」
顔だけかよ他も褒めろよって言いたかったけど、余計酸素が体内から抜けるだけだった。
「念には念をだな」
「っっっっ!!!」
追い打ち……あんたより強いゲームのキャラでもここまで惨いことしなかったんだぞ……お前人間じゃないだろ……
などと思考することはできても、そのまま意識が途絶えそうになっている。内心は怒りよりもだんだん恐怖が勝ってきた。私、このまま死ぬのかな。
『世界……し?え、死!?世界死ぬの?』
懐かしいな。あんときも馬鹿だったから本気で死ぬのかって驚いてたけど、今回は本気の本気で思っちゃってる……
「大人しくしてたらなんもしねぇよ。まあ、お前はこれが無事終わった後ついてきてもらおうかな?」
ニヒルに男が笑う。だいたい想像はつく。なんかいかがわしいことでもされるのか、どういう展開かは知らないが私がこいつらに協力しなきゃいけないようなものが始まるのだろう。
「はぁ……ゆ……ぅか……けほっごほっ」
だんだん酸素がすえるようになってきた。早く、逃げないと……早く、優香にも知らせないと……あいつも、危険な目にあっちゃう。
「別に……私の心配するより、自分の身を案じなよ。詩悠」
「誰だお前……はぁ、また見回りミスか」
「ゆ……かっ」
ため息交じりで、けど、すごく安心するような、大丈夫だって何故だか思えるような、優しい表情の優香がこの教室の入り口にいた。
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7月20日(火) 天気:快晴 15:55
【速報】
現在、要注意団体『日本平和連合』幹部らが銀行強盗をした後に逃走。現在は同市内の中学校に立てこもっているとのことです。警察は、団体幹部らとの交渉と人質となっている教職員と生徒の救出のため、大掛かりな人数が現場に動員されており、未だ人質となった者の安否は確認できていないとのことです。また、幹部の数名は拳銃を所持していると思われ…………
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どんな展開だよってね。妄想だからね
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