第47話
再び姿勢を正す。
「それともう一つ、貴方に謝らなければならないことがあります」
「何でしょう?」
「まず、本来はこの計画を始める前に伝えるべきだったんだ。今まで黙っていたこと、深く謝罪する」
深く頭を下げる。
「今から嘘偽りなく話してくれるなら、貴方を許します。それで、計画とは?」
「ああ。俺と同じ学年の、元平民の女子生徒は知っているね?」
「エリカ・ノートンさん。確か、子爵令嬢でしたね」
俺は肯定の意を込めて頷く。
「それで、その女が妙な魔力を発しているんだ」
「魔力、ですか。確かシリル様は魔力操作に長けているのですよね?」
「うん。それゆえに、魔力感知も得意だ。だから妙な魔力にも気が付いた。で、その魔力に当たると、何かこう、嫌な物を感じたので、今は同じ波長の魔力をぶつけて相殺することで影響を受けないようにしている」
「へえ、すごい」
「大したことじゃない。俺だけじゃなく、アルもできることだし」
波長を調節するのはアルもできる。だが、婚約者に褒められるのは正直ちょっと嬉しい。
「これはただの俺の勘なんだが…エリカ・ノートンは危険なので見張っておこうと思った。だから表向き友達のふりをして、時間があるときは極力あの女の監視をしていたんだ」
「だから、最近ずっと図書館に…」
「まあ、あれはあっちが一方的に誘ってくるんだがな…それも好都合だから断らないだけだ」
「レベッカ嬢、俺はこの計画を実行するに当たって、
つまりノートン嬢の目的を探るに当たって、ノートン嬢との接触が多くなる。
それは、婚約者としての貴方との付き合いよりも、かもしれない。
もちろん、俺は貴方を愛しているから、貴方との時間を作るように最大限努力する。
当然ノートン嬢との約束より貴方を優先するし、貴方が嫌だと言えばあの女との付き合いを一切辞めて監視だけに専念する。
どうかな?俺が、たとえ動向を探るためとはいえ、ノートン嬢と接触することを許してくれるだろうか?
嫌なら嫌とはっきり言ってくれて構わない。俺は貴方の言葉に従うのみだ」
レベッカ嬢はしばらく考え込んだ。
「良いですよ。許しましょう。私は…ちょっと嫉妬してしまうかもしれないけれど、そんなに気にしません。大丈夫です」
「ありがとう、感謝するよ」
俺は深く頭を下げ、最大限に感謝の意を表した。
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