第18話

俺とアーウィンとの間に僅かな沈黙が訪れる。

まずいまずい、何か会話、何か会話!


俺が焦っていると、わざとらしい咳払いが場内に響きわたる。

おお、ナイスタイミング。


「只今より、第151回、王立学園の入学式を開会いたします。本日、司会進行を務めさせていただく、副校長のアガレスです」


副校長先生か。まじ助かった、ありがとう!

目線で念を送っておく。

優しい喋り方で、イケオジな雰囲気を醸し出している。


それから校長先生の長い長い学園の歴史についての説明が終わり、やっと入学式らしいイベントが始まる。


まずは現生徒会長であるエドウィン・レイモンド伯爵令息の新入生歓迎の挨拶だ。

レイモンド伯爵家はアークライト家うちと派閥が違うが、学園では派閥も身分も関係ない。


「新入生諸君、入学おめでとう。この学び舎で共に励む新たな仲間ができたことを喜ばしく思う。

皆も知っての通り、この学園では身分など関係なく、実力がものを言う。かく言う私も、実力で上り詰めた内の一人だ」


新興伯爵家の彼が言うのだから説得力がある。だが、プライドの高い奴は良い顔をしないだろう。現に、隣のアーウィンは眉根を寄せている…いや、これは緊張しているだけだな。


話の長い校長先生と違い、簡潔にまとめたレイモンド先輩は礼をして去っていく。さすが生徒会長だ。


式次第に従うと、次は新入生代表としてユリウス殿下の挨拶だ。


「新入生代表のユリウス・バートランドだ。この学園で皆と共に励めることを誇りに思う」

から始まり、しっかりと後ろの親御様方にも感謝を述べ、

「これからの学園生活が皆にとって良いものとなるよう心から願っている」

と締め括った。


うーむ、聞いていた通り優等生だ。表面上は。


王侯貴族というものは大抵、表の顔と裏の顔があるものだ。

俺は今後、裏の殿下の相手もすることになるわけだが、果たしてどういうお人柄なのか…


殿下が挨拶を終えると全員起立して礼をし、殿下が席に着くのを待つ。

隣に来た殿下に目礼し、殿下が腰を下ろすのを見て俺も座り直す。すると、俺に続いて、ざっと音を立てて皆が着席した。


その後、来賓の国王陛下からお言葉を賜り、コースとクラス分け試験についての事務的な説明を受けたら解散だ。


「シリル・アークライトと言ったか」

殿下にきちんとしたご挨拶をしようとタイミングを窺っていると、逆に殿下から声をかけられた。



※丁度いい場所が見つからなくて適当に切ったら短くなってしまいました…

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