第8話
風花と僕は、ファミレスでコーヒーを頼み、今後のことについて話し合うことにした。
「ねえ、今晩は本当にどうするの」
風花はそうつぶやきながらコーヒーを口に運ぶ。だが、思ったよりも苦かったのか大量のミルクと砂糖をコーヒーに加えた。
「ネットカフェぐらいしかないんじゃない」
風花はスプーンでかき混ぜながらそう続ける。
「ネットカフェだと年齢確認があるから僕たちは泊まれないと思う」
僕は、率直な意見を風花に述べる
「じゃあ、どうするのよ、本当に泊まるところないじゃない。野宿は嫌よ絶対に。」
風花は、目を細めながら金切り声でそう言う。
「こんなんじゃ、一緒に来なければよかった最悪よ。ママと一緒にいるよりもほんとに最悪」
風花はそう続ける
「そんな言い方はないだろう、君のためにここまで来たのに」
僕はカッとなり思わずそう言い返す
「何よそれ、私が悪いって言うわけ」
「ああ、そうだよ君のせいだ。君は、恵まれた才能を持っていてそれが周囲から期待されるのなんて当然の義務だろ。それなのに、君はそれに耐えきれなくなって逃げ出したいと何度も僕に言ってきただろ。だから僕は、君を連れ出すことを決めたんだ。」
僕は感情に任せて風花に食ってかかる。なんで、こんな事を言ってしまったんだろうか。そんなことをいまさら後悔してももう遅い。
「何よそれ、、、」
風花はそうつぶやくと立ち上がり、今にも泣きだしそうな顔をしてファミレスを飛び出してしまった。
「やってしまった、、、、、」
僕はただ風花に対して先ほどあのようなことを言ってしまったことを後悔し続けながら30分ほどコーヒーを飲みながら風花が戻ってくるのを待つ。このような知らない町では風花も頼る人が僕以外に居ないだから暗くなる前にはここに戻ってくるだろうそう思っていた。
「遅いな、、、」
周囲は日が落ち、暗くなりネオンの灯りが町全体を独特の雰囲気で包みだした。僕は、風花を心配する気持ちが大きくなり、彼女を探すためにファミレスを出た。
風花も知らない町であるため、それほど遠くまでは言っていないだろうそう思い町を探し回る。明るかった時とは違って、飲食店への客引きのために看板を持って立っている人や少し派手な格好をした女性、厳つい顔つきの裏社会の人のような雰囲気の男性などが目立つようになった。僕は、風花のことを早く見つけなければと気持ちが焦る。
「あいつ、どこに居るんだよ」
僕は、そうつぶやきながら歩き続けていた。そんなとき、道端のガードレールのところで人だかりができているのを発見した。僕は、風花がその中心にいて何らかのトラブルに巻き込まれているのではないかと嫌な予感がした。
僕は、ただその人込みに向かって駆けだし、人と人を押しぬけるように中心に向かっていく。そこには、顔の片面を真っ赤に腫らしている風花といわゆる地雷系といわれる格好をした女子高校性ぐらいの三人組が風花を囲っている。
「こいつ、何なの。私が心配して声をかけてやったのにその態度は」
三人組の女子高生の中で最も派手な服装の女が風花の襟をつかんで問い詰める。
「やめろ」
僕は、風花を守るべく間に割って入る
「お前なんなん、この女の連れ?」
先ほどの女は僕をにらみつける
「お前きめーわ、陰キャそうだし。まさか、こいつの彼氏。だったてかセンスな浅すぎだろ」
女はそう続ける
「てか、さっきの態度はなんなわけ。ねえ、お前、私になんかいうことねえのか」
女は風花にそう続けるが、風花は黙ったままだ
周囲にはさらに人が集まりだし僕は何とかこの現場を収めることができないか考えていた。
「ちょっと、あんたたちなにやってるのよ」
僕たちの前に先ほどと違って派手な衣装と甘い香水の香りを漂わせた先ほどの大学生ぐらいの女の人が現れた。
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