閑話 3

インタビュワー:

 ──ありがとうございます。

 いや今回のお話も、何と言いますか……。


葉子:

 我ながら、荒唐無稽な話とは思います。


インタビュワー:

 ああ、いえいえ、そんなそんな……。


葉子:

 私だって、ひとから聞いた話なら信じないと思います。

 これが事実だということは、本人にしかわかりませんもの。


インタビュワー:

 ……ええっと、すみません、いくつかお聞きしたいのですが。


葉子:

 はい。


インタビュワー:

 カシマさん──あ、本物の方の──とは再会されたんですか?


葉子:

 ああ。いえ……残念ながら。


インタビュワー:

 会おうとは、されなかったのですか?


葉子:

 そうですね……特には……。


インタビュワー:

 逆にカシマさんの方から連絡は?


葉子:

 さあ……。


インタビュワー:

 ……ありがとうございます。

 その後は娘さんの、その、施設の方で?


葉子:

 ええ、そうです。三年間くらいですかね。

 それくらいの間は住み込みの用務員のような感じで。


インタビュワー:

 用務員、ですか。


葉子:

 娘……花子は、私に働かなくて良い、と言いましたが。

 まあねえ、そんな、ねえ、なかなかそうはいきませんよね。


インタビュワー:

 それで……そこで、また、神隠しに?


葉子:

 ……はい。ただ今回は……今までとは少し違いまして。


インタビュワー:

 と、言いますと?


葉子:

 あの、私……異界──別の世界への入口というものは、皆さんが思っているよりも身近にあるものなんだ、と思います。

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