閑話 1

インタビュワー:

 ──ありがとうございます。

 いやあ、何だか不思議な話で。


葉子:

 そうですよねえ。

 私も話していて何だか……遠い夢のような感じがして……。


インタビュワー:

 しかし、実際にご経験されたわけですよね?


葉子:

 はい。


インタビュワー:

 神隠しにあっていたのは、十年間?


葉子:

 そのようでした。

 まさかそんなに経っていたとは、ねえ……。


インタビュワー:

 横浜の港で保護された後は?


葉子:

 警察に連れて行かれました。

 そこで捜索願が出ていないかを調べてくれたようで。


インタビュワー:

 出ていたんですか? 捜索願は。


葉子:

 いえ……。


インタビュワー:

 実家にご連絡は?


葉子:

 いえね、私が神隠しにあってすぐ……。

 昭和十四年の五月に男鹿地震という大きな地震があったそうで。

 それで、私の家族も、親戚も、皆……。


インタビュワー:

 ああ、そうだったんですね。申し訳ありません。


葉子:

 いえ……。


インタビュワー:

 お一人で辛かったでしょうね。


葉子:

 はあ……。 

 でも翌年に娘が産まれたものですから……。


インタビュワー:

 え? 娘さんですか?


葉子:

 はい。


インタビュワー:

 ……なるほど、それは、その、おめでとうございます。


葉子:

 いえ……。


インタビュワー:

 ええっと……それでは2回目の神隠しについてお話し下さい。

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