第36話 夏祭り
夏祭り。
暗闇に賑やかな
吊るされている
その中に軽音楽部の五人もいた。
「
「そんなこと言われても困るよ」
音楽以外のことは自己評価が低い
そんな彼女を見て、
「
「そうだな。ウチなんて体のライン出まくってるし……」
着物は体のラインが出ない方が美しいと言われている。背も高く、スラッとしている
「そんなことよりも! せっかく休憩時間もらったんだから、屋台回ろうよん」
「そんじゃん! 回ろうじゃん!」
「わかった、わかった」
双子の駄々ゴネに、
彼らは今、リハーサルを終えた。
生徒会長──
彼女らの出番は二十時頃だ。あと
「じゃあ、出発するよーん」
「って言いたいところだけど、何を食べる?」
「りんご飴!」
「綿菓子!」
「かき氷!」
「ホント、
『うん!』
五人は屋台を回る。
りんご飴を買い、皆で一口。
ほっぺが落ちるくらい美味しかったので、
「ウチはあんまり食べないんだけど……こういうのもいいな」
「でしょー」
食べ歩きをしながら、皆で雑談をしていく。
音楽のことを一旦忘れ、彼女たちは普通の女子高生へと戻っていく。
コスメやファッション。趣味の話など話題は尽きない。
綿菓子、かき氷と予定通りに食していく。
「
「私は……ないかな?」
「じゃあ、イカ焼き食ってみなよ。意外とハマるぜ」
「イカ焼きか……あまり食べたことないからさ」
「ウチのりんご飴みたいに意外な発見があるかも知れないだろ?」
イカの程よい食感。甘しょっぱいタレがイカ本来の味に絡みつき口の中で旨みが広がる。
後味も悪くなく、一本で満足できるだけのものがそこにはあった。
「みんなといると意外な発見があるね」
「そうだな。腹もいっぱいだし、次なにやる?」
「金魚すくい、射的、型抜き。いっぱい遊べるよね」
「ウチ、射的やりたーい」
「アタシは金魚すくい」
「はいはい、みんないっぺんに言わないで。あと三十分か……じゃあ、射的から行こうか」
最初に
祭りに来たら必ずやるらしい。なので、慣れた手つきでコルクを発射していく。
三発中三発命中。
店主のおじさんも驚いていた。反対に
「ほら、ぬいぐるみ。
「えへへ、意外と好きなんだこういうの」
「ぬいぐるみじゃなくて、熊が好きなんでしょ」
「バレた」
「
「でしょー、私も初めて聞いた時はビックリしたんだから」
そこから何の動物が好きかの話に広がった。
その後も金魚すくい、型抜きとやりたいことをやっていった。
この祭りの常連の
「はー、遊んだな。そろそろ時間じゃないか?」
「十五分前。そろそろ向かった方がいいかな?」
彼女の言葉を聞いて、
「どうしたの?」
「
「えっ!」
「さっきまで一緒にいたんだけど……」
型抜きを始めるまでは確かにいた。だが、
いなくなったとしたら、その間だと思うのだが……
「小学生じゃあるまいし、そんな勝手な行動しないと思うよ」
「
「マジかよ……」
小学生みたいな
残り十五分。舞台に向かうまでの時間も計算したら、
とんでもない仕事を増やされた
*****
「待てー」
世間では高校生と呼ばれる年齢に達している彼女だったが、カブトムシなどの小学生が好む昆虫類が好きだった。
祭りが行われている会場は東京といえど、田舎に近い。少し離れると草や木で覆われている山に入ってしまうような場所だ。
そこから飛んできたカブトムシ。たまたま
故に追いかけていって……
それが原因で彼女は
追いかけるのに夢中な
ジーンとする頭を押さえながら、「痛てて」と可愛らしく発する。
「お前誰?」
目の前には黒色の
高身長。スラッとした体型は大人の色気を放っている。
「ごめんなさい」
「チッ!」
素直に謝る
「
背後から姉の声が聞こえてきて、
「
「なにやってんのよ!」
「ごめん……」
「まぁ、見つかったんだし、よかったじゃん」
「そうは言っても……」
妹を心配する姉。その横で、
その視線に
「気のせいかな……」
「どうしたの?」
「なでもない」
「もうすぐ出番ですよ。遅刻は厳禁ですからね!」
「わかりました」
彼女の言葉に返答して五人は舞台へと向かった。
*****
「申し訳ありません!」
舞台裏のテントにいる関係者に頭を下げる五人。何とか間に合ったので特にお
開演三分前。
何とか間に合った
本番直前になり、
彼女の言葉に
拍手に包まれた。
思った以上にお客さんが歓迎してくれて驚いた。
観客の中に母の姿が見え、
メンバー同士で息を合わせる。そして……ドラムのバスドラムから一音目が始まり……
ここまで練習してきた全てを乗せて。
追記
浴衣の色
謎の女……黒色
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