第26話 向き合う気持ち
スマホが鳴る。その音に反応し、
送り主は
現在は月曜日の朝。あれから二日経っているが、
知らない男性に抱きつかれる。
自分の画像を見て、画面越しに性的行為をされる。
想像するだけでゾッとし、彼女の心を病ませるには十分すぎる行為だった。
彼のメッセージに『うん、なんとかね』とから元気を見せる返信をする。
『ならよかったが……昨日の練習も断っちまったし、
「うん。それに関しては本当に悪いと思ってる」
彼らには時間まで作ってもらったのに、このようなな結果になってしまったのは、申し訳ない。
だいぶセンチメンタルになってしまっている
元気をつけるために、
まだ時間も少しあるため、
『そういえばよ、俺、弾ける曲のバリエーションが増えたんだよ。最近はギター弾くのがさらに楽しっくてさ。早く三人で音を合わせたいと思ってる』
「そうなんだ……」
『それに……歌の練習もしたぜ。ボイトレってやつ? 初めてやったんだけど……歌のことをもっと知れて楽しかった。だからよ……』
今の
「ごめんね……」
低いトーンで言葉を発する。それに
「うん。でも、気持ちだけは嬉しい」
表面だけは取り繕い、『今日、用事あるから学校休むね』とだけ、返信してやり取りは終わった。
それから
自宅を出た
場所は総合病院。
体調は土曜日からおかしかった。ただ、緊急で行くほどのものではなかったので、週初めまで待ったのだった。
病院で一通りの検査を受け、診察室へと入る。
「この検査結果だけではなんともいえませんね。しこりも良性のものかもしれませんし……一応、詳しい検査受けられますか?」
「お願いします」
女医の言葉に覇気のない声で答える
その後、精密検査を受け、検査結果は後日という形になった。
会計を済ませ帰宅……しようとした時、
「本当に似てる。君、
黒色の秋コーデに身を包む長髪の女性に声をかけらる。
全く知らない人に声をかけられた
「ごめん、悪気はないんだ」
「何か用ですか……」
ただでさえ、気分が優れない
「用というか……私は弟の薬をもらいに来ただけで、たまたま
「昔の癖?」
「そう、
怯えている
「それで、たまたま声をかけただけなんですか? だったら、私は帰ります。失礼します」
「待ってよ!」
逃げるようにこの場を去って行こうとする
姉も怖い。弟があれなら、
恐怖している
「たまたま会うのも運命だよね。ちょっと時間ある? あるなら話しない?」
「話ですか?」
「そう!
彼女の目が
全て聞いたのであれば、何をしたのかも知っている。
しかし、彼女はそんな弟は
「ちょっとだけなら……」
「ありがとう。ここだとちょっと迷惑になるから、近くに公園があったよね。そこに移動しようか」
公園についてしばらくは無言が続いた。
「何から話せばいいのかな……まずは
「あのー、私も暇じゃないんです。早くしてください」
「待って、待って! 情報を整理するのが難しいのよ」
なかなか本題に入ってくれない彼女。それに少しイラつきを隠せない
もう我慢できなくなった
「そういえば、
「えっ! そうそう。
「言ってましたよ。その
「そうね……」
声色が少しだけ変わり、彼女は寂しそうな顔をした。
そんな彼女の顔を見て、これから話す内容はかなり難しい問題なのだと
実際、
「
その話を聞いた
「でもねある日、
できるだけ笑顔で話してくれているが、言っている本人は結構苦しいと思う。
「
歯を食いしばり、
「アイツと一緒に音楽やってほしい。アイツ、君といると生き生きしてるの。これは私のエゴなんだけど、昔のアイツをまた見たいの。
涙を浮かべて必死に
彼女の必死の訴えに、
でも、怖い。彼の事情は知れたが、彼が
複雑な感情が胸の中で渦巻く。だから……
「ここで答えは出せません。ごめんなさい」
「そうだよね……」
当然の答えだった。
「連絡先教えてください。明日までに答えを出して連絡します」
これが
「ありがとう! ありがとう!」
救いの神が舞い降りたかのように、
形は違ったが、その姿は父が亡くなった時に自分に抱きつき、泣き崩れていた母にそっくりだった。
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