第2話 嫌な予感
ハワイ旅行は逃したものの、なんとか温泉慰安旅行はゲットしたチャリパイの四人。その旅行の前日の事だった…
「添乗員がつかないってどういう事だよ!」
シチローはスマートフォンで、この温泉旅行の旅行代理店の代表者と話をしていた。どうやら、目録に載っていた契約の内容と今旅行代理店から聞いた話に食い違うところがあるようだ。
『本当に森永探偵事務所の皆様には、ご迷惑をおかけして申し訳ございません……実は、担当する予定の者が急遽盲腸で入院する事になりまして…』
「まあ、病気なら仕方ないけど……代わりの人は居ないの?」
『それが……何せ零細企業なもので、他の者は全て別の旅行の同行が決まっていまして……必要なガイド資料は、全てFAXでお送り致します!あと、旅館の食事等に付きましては、通常より豪華なものに変更させていただきますので、どうかご了承いただけませんでしょうか』
「仕方ないな…わかりました!じゃあ~料理の手配はよろしくお願いしますね」
シチローは、渋々旅行代理店の申し出を了承した。もともとわずか四人の旅行ならば添乗員がいない方が気楽に行動できると思っていたのもあった。
「かえってヨカッタじゃないの。豪華な料理楽しみだわ」
「そんな事ってあるもんなのね……」
その頃旅行代理店では、電話を切った社長が額の汗を拭いながら呟いていた……
「やれやれ……どの添乗員も、あの温泉だけは行きたくないってぬかしやがる……まったく困ったもんだ」
* * *
そして、いよいよ旅行当日……
「さぁ~みんな、忘れ物はないか~?お菓子は500円までだぞ~」
「バナナはお菓子に入らないんだよね?」
遠足かっ!
それぞれが出かける準備を始める。シチローは自分の荷物をまとめ靴を履き紐を結び始めるが、まだそれほど古くない筈のシチローの靴紐が突然切れた。
「あ、ヒモが切れた……」
「なによシチロー、縁起が悪い……」
続いて、身だしなみのチェックの為に鏡を見ていたひろきだが……突然ひろきの目の前にあった壁掛けの鏡にピシリと亀裂が入った。
「ええっ!何にもしてないのに突然鏡が割れたよ!」
「不吉だわ……」
シチローの靴紐。そして、ひろきの鏡。 そして添乗員の突然の不参加……まるでこの温泉旅行が呪われでもしているような不吉な予兆のの連続。一体この旅行にはどんな出来事が待ち構えているのだろうか?
更に、外を眺めていた子豚が突然叫び出した!
「なんて不吉な!外に黒い猫がいるわ!」
「いや、『黒ネコヤ〇ト』は別に不吉じゃないだろ……」
外には、隣の家に荷物を配達に『ヤ〇ト運輸』のトラックが停まっていた。
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