第4話 やっぱりかなわないな

 学校に向かう閃光と化した私は、全てを置き去りまっすぐに学校に向かっていた。もはや私に追いつける生物は存在しないだろう。太陽を置き去りにしたメロスでさえ、私にはかなうまい。しかし、

 「あきら、相変わらず早いね!やっぱり陸上部は鍛え方が違うのかな!」

「うぇ、かなえくん!?」

 そんな私に追いつくどころか、並走して声までかける余裕。やっぱり彼には敵わない、と本能が負けを認めてときめいてしまう。

 彼の名前はかなえくん、校内随一の爽やかボーイだ。私の将来のお婿さん(未定)でもある。

 「やだ、かなえくん、い、いま前髪整えてるからあんまり見ないで、、、」

 恥ずかしくてつい顔を背けてしまう。彼には常に一番可愛い私を見てもらいたいのに、今の私はこんなボサボサ。

 「っ!あぶない!」

「え?」

よそ見運転、ダメ絶対。私は、曲がり角から迫るトラックに気づかなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

運命の赤い糸!素敵ね! だって、ああ @dot_atiti3

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る