「汚れた春」

 俺の名前は伊達春だてはる、高校1年生。

 栗戸や東木からはダーティーハリーって呼ばれてるんだぜ。名前をもじっただけじゃないんだ。指でピストル、口で発射音。俺の右手のマグナムがお前らの頭を吹っ飛ばすってわけさ。


「ハリー、ちょっとあいつ殺ちゃってよ」


 栗色を通り越して、金髪に近い髪を掻き上げ栗戸が言った。栗戸は幼馴染。小さい頃は一緒にお風呂に入り、少し開いて、今、また一緒にお風呂に入る仲。中学の時付き合ってたコイツの彼氏というのが、まあ、悪い奴で、栗戸はしょっちゅう殴られては痣を作り、団地の公園で泣いてるところ、下心ありありで慰めたりなんかしていたらイイ感じになって初心者の俺に年上の彼氏に仕込まれたあれやこれやを施してくれ挙句「殺ってくれたら犯らせてあげる」などベッドの上でギシギシ言っていたらタイミングよくいや悪くその彼氏が帰って来て「んだらぁっすぞぉ」ともう原型も分からぬ恫喝をされたところで咄嗟に振り上げた右手でピストルの形を作り「バーン」と言ったところ年上の彼氏は何股かかけていた何番目かの彼女(栗戸ではない)に後ろから金属バットで頭をかち割られ頭蓋骨陥没骨折脳挫傷により即死し錯乱した何番目の彼女は程なく逮捕され一切の手を下さず栗戸は解放され結局まだ最後までしてない。


「あー、わたしもお願いしたいです」


 そう言うのは東木。黒髪の清楚な感じだけどそもそも底辺学校に共に通学している時点で底が知れている。栗戸と一緒に電車通学している時に同じ車両内、痴漢に遭っていた東木を助けたのが出会いだ。「ちょっと春、あの子、やばくない?」と耳元で栗戸が囁くと耳に息が吹きかかりぞくぞくと鳥肌が立つが栗戸はそれを知っててやっているからたちが悪いし不必要に腕に当たる胸もわざとで、むしろお前の方が逆痴漢的にやばいのではいややばいのは俺のマグナムかなどと思っているとなるほど黒髪の気の弱そう(にその時は見えたがかなりの性悪だったのはまた後の話)な女の子がふたりの男に挟まれあれやこれや言葉も失うような事をされており栗戸が「みーこ、おはよー」と能天気を装った声で満員の人を押し分け近づくのを見て俺はこみ上げるものがあり出来ればこの女ともっといい感じになれると良いと思いつつ滾る思い右手に乗せて「バーン、バーン」と2連射すると駅に着いて乗り降りの乗客に流された男たちは電車と駅の隙間にするり落ちて消えそれに気づいていたのは俺と栗戸と東木だけで程なく電車は発進し線路の上には頭の潰れた2人分の死体が転がっていたって寸法だ。


「「お・ね・が・い♡」」


 俺が渋っていると、栗戸と東木が制服のボタンを4つくらい外してすり寄って来る。栗戸は薄い水色の下着、東木は黒のレース。そのあと、ふたりして俺にあれやこれやしたり俺の俺にあーしてこーして、結局「うん、殺る」と言ってしまった俺は、かれこれもう20人以上は殺っているが、まだふたりとは最後まで犯ってない。

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