続、9月でした。
僕はその日も窓際の机に座り彼女と話していた。僕が話すのは例えばその月に読んだり、あるいは書いたりした小説ことだった。そういった取り留めのない話を彼女は時々頷いたり、形の良い耳に長い髪をかけたりしてとても熱心に聞いてくれた。
「今も時々何が書きたいのか分からなくなる事があるんだ」
僕がそう言うと、彼女は「分からなくなる事があるの?」と、まるでクリスマスに貰ったプレゼントの中身がペッパーミルか何かだったような表情を浮かべ曖昧ににっこりと笑った。
「というわけで9月と言えば『ハルキものまね』ですね」
「これかな?」
部長がスマホで『彼女がそうすると分かっていて』を開く。それを覗き込むと書いていた時のテンションを思い出し今も頬が緩む。
ビートルズの「ノルウェーの森」を村上春樹「ノルウェイの森」調に日本語訳すると言う我ながらお洒落なパロディだ、とても良い。
「でも直後にイマジナリー先輩たちの本気お遊びに捻じ伏せられちゃったのよね」
ぐさり。やれやれ、しかしそれも本望。
「あと、『4行小説』は勉強、というか勘を磨くのにとても良かったですね」
「ふむふむ」
文字数が少なくて、しかも『恋愛小説』。
あっという間にPVが伸びるが早々完結。
「4行小説家になりたいわけじゃないので」
「もう、言い方」と部長は呆れ顔。(4行)
その後ぽんと書いた『天象偽』。
これは以前書いた『幻馴染』の姉妹作だ。
割とお気に入りなのでリンクを置いてみる。
隙あらば宣伝を捩じ込むスタイル。(4行)
『幻馴染』
https://kakuyomu.jp/works/16818093082802679388
『天象偽』
https://kakuyomu.jp/works/16818093083469966727/episodes/16818093086472399191
「叙情的な描写で人の思い出に侵食し、郷愁感で脳神経を焼き切れないかなって思って♪」
「さらっと怖いこと言った笑」
このシリーズは時々思いついたら続けるのでもし「最近、いないはずの幼馴染が夢に出る」なんて方がおみえでしたらお知らせ下さい。
さてさて9月最後にエッセイ自主企画にひとつ置かせて頂いた。部長は「ぬりや君はエッセイ音痴」と笑うがどうだろうか。
ちょうど「4行恋愛小説」を書いている時に思い浮かべた同級生、とある揚げ物屋の少女のお話だ。
「読んだけど、なんでこんな口調なわけ?」
「最近作業とか運転中に太宰を聞いてまして」
「ふふっ。ぬりや君たら、すぐ影響受けるー」
ええ、ええ。それも良いではあるまいか。
あれであるとか、これであるとか申しますを試みまして、愉快に物語などしたためれば自ずと心内にあります何かが浮かび上がる。
いずれにしましても、こういった辺りで9月の振り返りを終えよう。私はそう思い、そっと筆を置くのでございます。
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