「8時だョ!全員転生」②

 キミは暗闇の中にいる。

 そこは暗く長いトンネルのようだった。

 暗闇の中、手探りで進むと前方に白く明るい光が見える。


 トンネルを抜けると雪国、ではなく天国だった。


「やあ、キミか」


 光輝く草原に凛として立つのは、頭の高い位置で長い髪を一纏めにし、白い布で体を包んだ女性。


「せ、生徒会長?」

「くくっ、まさか女神様役とはね」

「ここは? 部長は?」


 キミがそう聞くと、女神は憂いを帯びた表情で話す。


「ジーナはきっと今頃泣いているよ? だからこんな男はやめておいてボクを選べば······まあ、ジーナのためだ」


 そう言って、女神がキミに差し出した手のひらを開けると、そこには一匹の蜘蛛が乗っている。


「さあ、次行ってみよう。この蜘蛛の糸を伝って地上へ降り給え。」


 キミは女神の言葉に従って、雲上から蜘蛛の糸を伝って降りる。しかし、蜘蛛の糸は細く心許ない。

 キミが慎重に蜘蛛の糸を伝っていると、雲の上から女神が顔を出しキミに声をかけた。


「例によってこの糸は寓意的にぷつりと切れるからね。地上に落ちたら頭を打ってこれまでの記憶はなくなるけど、まあ、痛みはちょっとだけよ」


 そう言って手を振る女神の顔が急速に遠ざかる。糸が切れたのだ。

 落ちていくキミが、なんとか振り返ると女神とは逆に急速に近づく地上。


地上にぶつかる前にキミは意識を失った。

https://kakuyomu.jp/works/16818093083469966727/episodes/16818093084241222567

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