この状況……どうしましょう?
「うわぁ~……沢山のスラスラが居るのね。プルンプルンしていて美味しそう」
そう言い私は、目の前のスラスラを触ろうとした。
「ハッ!? 駄目だ素手で触るな!」
「えっ!?」
そう言われ私は手を引っ込める。
「フゥー……危なかった。スラスラは毒があるから素手で触るな」
「そうなのね……こんなに可愛いのに」
「魔物や魔獣は見た目で判断するな。弱い魔物や魔獣ほど毒のようなものが体内に備わっている」
それを聞き私はなるほどと思った。
凄いですわ。弱いから身を護る術を備わってるなんて……。
そう思いながらスラスラを見据える。
「本当にスラスラを倒すの?」
「ああ、まずは弱い魔物で試した方がいい」
「でも……無抵抗なスラスラを倒すだなんて私にはできませんわ」
そう私が言うとグランは呆れた顔になった。
何か私……まずいこと言ったのかしら?
「メルナ……スラスラはな、このまま放っておけば増え続けるんだ」
「あーそうなのね。ある程度、駆除しないと大変なことになる」
「そういう事だ。それで試しに杖で攻撃してみろ」
そう言われ私は杖を構える。
「杖でスラスラを叩けばいいのですよね?」
「ああ、ただ思いっきり叩かないと分裂するから気をつけろ」
グランはそう言い私の後ろへ移動した。
私は頷くと、スラスラを杖で思いっきり叩く。
するとスラスラは、パンッと弾けて消える。そして地面には魔石が落ちた。
「た、倒せたわっ!」
「そうだな……最初にしては上出来だ」
「ありがとうございます。そういえば落ちてるのって魔石よね?」
そう聞くとグランは、コクッと頷く。
「ああ、魔物は魔石やアイテムなどを落とすんだ。でも魔獣は落とさない。その代わり毛皮や肉を解体すれば金にすることができる」
「……という事は魔物って魔法でつくられたのですか?」
「多分そうだと思う。ただ誰がつくったのか分からないけどな」
それを聞き私は不思議に思い首を傾げる。
「誰がつくったって……神さまですよね?」
「…………」
なぜかグランは黙ってしまった。
私……何か悪いことを言いましたでしょうか?
「神か……そんなものが、この世界に存在するのか? オレは絶対に信じない」
そう言いグランは空を見上げ睨んでいるようにみえた。
そう思う何か遭ったのでしょうか? グランがこんなに言うのですから余程のことなのでしょうね。
そう思い私はグランをみつめる。
「そうですね……信じるか否かは人それぞれですもの」
「メルナ? お前は信じるのか」
「ええ、信じますわ。だって、こうやってグランと出逢えたのですもの」
言ったはいいが恥ずかしくなった。
どうしましょう……なんでこんなことを言ってしまったのでしょう。
「…………そうだな。神が居るかどうか分からない……だが、メルナの言う通りかもしれない」
「グラン、少しは信じました?」
そう問いかけ私はグランの顔を覗き込んだ。
「メルナ…………」
いきなりグランは私を自分の方に引き寄せ抱きついた。
「な、何をするのですか?」
「黙っててくれ……少しの間だけでいい、こうして居たいんだ」
そう言われ私は頷くが顎がグランの肩にあたってしまう。
えっと……どういう事ですの? 何もする訳でもない。ですが……グランの息が荒いように思える。
それよりも……このままじゃ生殺しですわ。こんなにも胸の鼓動が鳴りやまない……いえ、息が苦しいです。
ハア、ハアハア……なんでこんな所で……体が熱い……。
いつの間にか私は腰へと手を回しグランの首と肩の間に自分の顔をうずめていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます