第5話 おおおからのメッセージ

罰を与えることができますか?


はい、たしかに。



………………


…………


……



「おおおの投稿、もう、詩じゃなくない?」


Bは頭を掻きむしりながら言った。


「犯行予告的な」


Aは椅子の背もたれに寄りかかり軋ませた。


あああからえええまでについては、一度詩の内容を防御したことで、新たに異常現象が起きても、ほぼ同時に収束の現象も現れるようになっていた。


「うんうん、すごいでしょ」


Aか得意げな顔をする。


「あ、うん。そうだね……」


「なんですか、不満そうに」


「俺は、何も事情を知らされてないから」


「ええ、何も事情は言ってませんので」


「教えてもらえない……のかな」


「知らない方がいいですよ、自分がしくじったらたくさんの人が死ぬかもしれないなんて」


「言ってるじゃん! まあ、わかってることだけど! もう……手遅れかもしれないし……」


「大丈夫です、まだ世界人口の1%しか死んでません」


「……そう……」


Bはため息をつきながら、改めてカクヨムのおおおの投稿を見た。



………………


…………


……



勝手に動く舌


感じない目玉


終わりを望む鼻


理解しない耳


おしゃべりな手


生真面目な脚


我慢できない腹



……


…………


………………




「……個人を明らかにターゲットにしてるよな」


「そうですね。罰とありますから、罪を犯した者がどうにかなっちゃうんですかね」


「罪を犯さない者はいない……。結局、みんながみんな、ターゲットってことだろ……」


「そんな、哲学的な話ならいいんですが」




― 一時間後 ―




Aは電話を切った。


「この国で一番有名な死刑囚はだ〜れだ」


「……●●●●だろ……」


「はい。先程、獄中で突然死しました」


「………………」


「遺体の画像、来てますよ。グロ画像ですが、見ますか?」


「………………いや………………」


「じゃあ、マイルドにお伝えします。おおおの投稿にあった体の部位が、●●が犯行で行った虐待と同じ目に遭ってまして。●●がどんな非道を行ったかはBさんだって知ってますよね。まあ、目には目を……ってとこですか」


「………………」


「もう少し見守って、いくらか凶悪犯を減らしますか?」


「いや……ちゃんと、やるよ自分の仕事を」


「そうですか。よろしくお願いします」


Bはパソコンの前に座った。


このまま凶悪犯が葬り去られたら、世界は良くなるんだろうか。


まさか、そんなうまい話があるわけない。


あいつらが相手なんだから……。



「あっ」


Aが声をあげた。


「どうした」


「おおおの奴、ついにえっくちゅに」


Aがえっくちゅの画面を見せる。




『罰したい人間のフルネームをあげてください』




10分後、Aの電話が鳴った。


「●●の遺体みたいなのが量産されてます」


「わかったよ!」


Bはキーボードを叩き始めた。

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