第4話 えええ、まり。

あああもいいいもうううも、休むことなくカクヨムに投稿するので、AとBは、詩から現象を予測し、それにあたりそうな情報が流れて来ないかをチェックしてる。


詩と連動しているものを見つけたら、中学時代の国語の通信簿が3のBがその現象をおさえる詩を書いて投稿する。


そしてその効果があったのかを検証する。


Bのアカウント名は、うんうん。


始まりがあなら、終わりはうんでしょ、と言うAが名付けた。



「あ、新しいフォローが来ましたよ」


Aが、フォロワー画面をBに見せる。



えええ



「でしょうね!!」


Bは叫んだ。


えええの投稿を見る。


………………


…………


……


てんてーん てん てん


てんてーん てん てん


てんてーん てん てん


まり。


……


…………


………………



「鞠が転がってるってこと?」


BはAに訊いた。


「そうですね。なんか今までに比べたら、規模が小さい気が」


「世界中のアザラシが二本足になったのは、規模的には大きかったしな」


「鞠……は日本限定なんですかね……」


Aはネットで鞠を調べた。


「へぇ……。平安時代の蹴鞠のイメージから、”高貴さ”と”気品”の意味があって……本来は子どものおもちゃで、寂しくないように持たせていることから……結婚した女性の人生を生涯に渡って守り、どんな困難も丸く収まるように……という意味があるらしいですよ」


「えええが書いておいて、丸く収まるものなわけないよな」




― 一時間後 ―




「わかりましたよ、まり」


「何だったの?」


「今、世界中の高速道路に鞠のような球体が横切って、大事故多発です」


Aが送信されてきた、数々のドライブレコーダーの映像をBに見せる。


色とりどりの美しい鞠が、てんてんと弾みながら道路に侵入してくる。


驚いたドライバーが運転操作を誤り、衝撃と共に映像が途切れる。



「……なんであいつらはこんな酷いことができるんだ……」


Bは怒りに震えた。


「まあまあ、気持ちはわかりますが、落ち着いてください。あと、ここ見てください」


Aが指を差した。


「映像が途切れる寸前の画面端に、手が映っているんです」


「……本当だ……子どもの手だ」


「まりはまりでも、貴族ではなく、大人の女性でもなく、子どものおもちゃとしての鞠のようです」


「……そうか……」


「あと、最初の鞠の出現から、えええの詩に続きが」




帰ろう 帰ろう みんなで帰ろう




「……どういう意味?」


「さあ。鞠を手放した、あるいは追いかけている子どもの心情ですかね」


「……俺には難しすぎるよ」


「でも、対抗できるのはBさんしかいないので」


Aはにやりと笑った。

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