第3話 うううのアザラシ

Aは、えっくちゅ(旧ちゅいったー)を始めとするSNSで、世界各地で異常な現象が起こっていないか注視していた。


「どう? 今なんか起こってる?」


「あぁ……今のところは大丈夫ですねぇ……」


Bは、Aのパソコン画面を見た。

アザラシがプールを泳いでいる動画が映っている。


「このアザラシが何か?」


「え? ああ、まっすぐ立ってるの、可愛いですよね。茶柱っていうんですよ」


「ふぅん……で?」


「で? って何ですか?」


「そのアザラシが、あいつらの詩に関係あるの?」


「さあ。それは僕に聞かれてもわからないです」


「関係あるから見てるんじゃないの?」


「関係あるかどうかわかるなら、こんなに片っ端からSNS見る必要ないですよね」


「じゃあなんでアザラシ見てるの?」


「え? カクヨム友達に勧められたから……」


「………………」


「何なんですかさっきから。何が言いたいんですか」


「俺が……何の詩心もない中、頑張ってるときにそんな和み動画見やがって……っていう悔しさ。あと、お前、カクヨムの中で友達いるのかよ。俺のフォロワーはあいつらしかいないのに」


「イライラするのはわかりますけど、アザラシ動画くらいいいじゃないですか。カクヨム友達がいないのは、Bさんがいいね押したり、コメントとかしないから……。積極性なかったら、友達なんてできないですよ」


「あいつらが誕生してから、お前と一緒にずっとここに缶詰じゃん。頭おかしくなる」


「あ。最近詩の調子がいいのはそのせいですかね」


「知らないよ」


「いいいも☆3つけること多くなってきたし」


「間接的に繋がってるかんじヤだな」



ふと動画に目をやると、アザラシがプールサイドに上がっていく。

二本足で。



「あいつら! 何を書きやがった!」


Bが三人の投稿を確認する。


うううが新作を公開していた。



『アザラシがせめてきたぞっ』

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