第21話

だって、遊んでばっかりの人でしょ? そりゃ上位の進学校にいるんだから、頭は良いのかもしれないけど。



「ほんとだっての。」



未だ疑いの眼差しを向けてる私に、あずき先輩は呆れ顔を返す。



「こればっかりはホントだね。おれとか他の奴らも、毎回亜主樹のおかげで赤点回避してるし。」


「……あずき先輩がよく分からなくなってきました。」


「んな事ねぇよ。これでも俺はくりゅーと違って学校休んだことも無けりゃ授業サボったこともねーからな。」


「……ますます分からなくなってきました。」



真面目なんだか不真面目なんだか。



「じゃあなんで、そんなチャラチャラした感じでいるんですか?」



分からない。成績優秀で授業もちゃんと受けてるのに、悪目立ちするような格好するのはなんで?


私が問えば、先輩はどこか誇らしげに口元を歪める。



「やる事ちゃんとやって結果出してりゃ、俺が何してても文句言えねーだろ?」


「えー……」


「懲りねぇ奴だな。そういうモンだって受け入れろよ。楽だぜ?」



そう言いながらも私はあずき先輩の言葉に妙な納得を覚えていた。


たしかに、うちの高校は校則が厳しいところではない。


あずき先輩とか栗生先輩みたいに奇抜な人は他にいないけど、髪を染めてる人なら結構いる。


結果を出してれば好きな事をしてても文句は言われない、かぁ。限度はあるだろうけども。



「だから、家庭教師としては信頼できるぜ?」


「まだ言いますか。」


「そういう話だったろ?」



まぁ、身近にすごく頭の良い人がいて、勉強を教えてくれるなら喜んで頼んだと思う。少しでもあずき先輩が真面目な人だったらなぁ。



「なにそのカオ」


「先輩の頭脳と人間性で悩んでる顔です。」

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