第14話

私の反応が一段と高くなると、そこを執拗に責め立てる。



「く、くれないせんぱい、も……やだ、変になる、」


「亜主樹」


「へ……?」


「俺の名前だよ。知ってんだろ?」



名前で呼べって? 今このタイミングでする話?



「身体しんどくて仕方ねーんだろ? ちゃんと呼べたら楽にしてやるよ。」



耳元で甘く囁かれる。


さっきから身体の中心が熱くてたまらなかった。できるのなら、どうにかしてほしくて。



「あずき、せん……ぱい」



私は何も考えず、彼の名前を口にした。



「よくできました。良い子だな。」



クスッと笑う気配がして、私への責めが激しくなる。


未だ不安と困惑の中にいた私の頭の中は、間もなくして真っ白になった。


何が起きたか分からなくて、ただ自分のものと思えない甘い声がひたすらに恥ずかしくて。


私を抱いてる先輩の顔が見れない。息が震える。


動揺する私をよそに先輩は手を止める気なんかなくって、先輩の指が触れた場所に思わず私は身体を固くする。



「痛くしねぇよ。……多分」



私が見上げると紅先輩は少し視線を逸らした。



「昨日は俺が急ぎすぎた。初めてのコとやんの久しぶりだったし?」



ベッド上の棚から小さなボトルを取る先輩。とろりとした透明の液体を少し多めに手に取る。



「あっ」



熱を帯びた部分に当てられた液体の冷たさに声が漏れる。円を描くように優しくなぞられて、時折聞こえる水音に頬が熱くなる。



「そのまま力抜いてろよ」



また耳元で低く囁かれる。


ゆっくりと先輩の指が私の中へと入ってくる感覚。昨日の痛みを思い出してやっぱりちょっと怖くなる。



「千夜子。力抜いて。」



深呼吸をして、身体の力を抜こうと試みるけど。恐怖心は簡単には拭えない。


昨日だって怖くなかったわけじゃない。でもあの痛みを知る前と後じゃ全然違う。


ローションか何かを使ったからか、昨日ほど痛むことはなく案外すんなり受け入れられて、先輩は私の様子を見ながらゆっくり指を動かす。



「んぅ……ぁ……」



初めこそ違和感しかなかったそれに、気づけば零れる声は湿っていて。「慣れてきた?」と問いかけながらもう一本入れてくる。

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